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転生したら世界樹だった件【コミカライズ2巻2月7日発売!】  作者: みんと
第一章

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第32話 アンデッドがきたよ


 ある夜のことだった。

 みんなが寝静まった夜――。


 どこからともなく、アンデッドたちがやってきた。

 アンデッドたちは、土の中を移動する。

 街の見張りをかいくぐり、街の中に。


 街の中に入ったアンデッドたちは、吸い寄せられるように、露天風呂のところまでやってきていた。


「う……あ…………」


 アンデッドたちは、おもむろに風呂の中に入りだした。


「うう……染みる……」

「うう……いい気持ちだ……」

「あったかい」


 アンデッドたちはみな、身体中、血や泥にまみれていた。

 どこかで、身体を洗いたいと思っていたのだ。

 身体中、皮膚が丸出しになっていたりして、痛みがひどい。

 なんとか鎮めるために、お風呂にでも入りたかったのだ。

 

「うう……生き返るなぁ……」

「ほんとだ……生き返りますなぁ……」


 アンデッドたちにとって、数百年ぶりのお風呂だった。

 こんな森の中に、普通は露天風呂なんかない。

 アンデッドたちは、身体の汚れを落として、いい気分だった。

 しばらくお湯につかっていると、次第に、身体に変化が訪れる。


「んあ……? あれ……? なんだか、皮膚がもとにもどってる……」

「ほんとだ。私も、目が生えてきましたぞ」


 お湯につかっていたアンデッドたちは、次第に傷まで癒えていった。

 それもそのはず。

 この露天風呂には、ドワーフたちが世界樹酒をこぼしていったからである。

 世界樹酒の液体に浸かっているようなものなので、アンデッドたちの傷はどんどん癒えていった。


「うわ……なんだか気持ちいい……生き返るようだ……!」

「……って、ほんとうに生き返ってる……!?」


 長い間お湯につかっていると、アンデッドたちはすっかり生き返ってしまった。

 爛れた皮膚は元通りになり、欠損していた部分も治っている。


「やったあああああああああ!!!!」


 アンデッドたちはその場で歓喜の声を上げた。



 ◇



「やったあああああああああ!!!!」


 ある夜、そんな声が外から聴こえてきて、俺は目を覚ます。

 一緒に寝ていたエルフたちも目を覚ます。


「セカイさま、なんでしょう?」

「さぁ……いってみよう」


 声のした方は、露天風呂の方向だった。

 そういえば、ドワーフたちのときもこんなんだったな……。


 俺たちは露天風呂に向かった。

 すると、そこには全裸のオッサンたちが風呂で大喜びをしていた。

 みな、人間の男で、どこか古臭い感じがする風貌をしている。

 こいつら、どこからきたんだ……?


「な、なんなんだお前ら……!?」


 すると、おっさんたちは大喜びで、俺に礼を言ってきた。


「あ、あんたここの街の人か? なんだかよく知らねえけど、この温泉ずげえな! おかげで俺たち、蘇っちまったよ!」

「は、はぁ……?」


 蘇ったって、どういうことだ……?

 それから、彼らの話をきいてみると、どうやら彼らはもとアンデッドだということがわかった。

 彼らはこの森をずっとさまよっていたアンデッドだったそうだ。

 それが、たまたまこの温泉を見つけて、入ってみたところ、蘇ってしまったらしい。


 でも、いったいなんで温泉に入っただけで、そんな効果が?

 俺が不思議に思っていると、ドワーフのリダフが、申し訳なさそうに言ってきた。


「実は……俺が世界樹酒を落としたせいかもしれん……」

「なるほど、そういうことか……」


 それにしても、世界樹酒でアンデッドが蘇るなんて……。

 そんなことってあり得るのか……?

 まあ、アンデッドだから起こったことなのかな。

 とにかく、これ、どうしようか……。

 まさか世界樹酒に、ヒトを蘇らせる効果があるなんて。

 どうやら思った以上に、世界樹のしずくは強力な効果らしい。


 それにしても、本当に人間が蘇るなんてことあるんだな……。

 今回はアンデッドとしての肉体や魂があったから、蘇っただけかもしれないが……にわかには信じられない話だ。

 アンデッドは、文字通り死なない人だ。

 だから、正確にはアンデッドはまだ死んではいない。

 アンデッドは死ねない身体だからだ。


 だから正確には蘇ったとも言えないのだろうけど。

 まあ、とにかく、彼らが元通りの人間に戻れてよかったな。

 アンデッドは死ぬことさえできない。

 アンデッドになったら最後、死ぬことすら許されずに痛みを味わいながら、さまようしかない。


 そんな彼らがもとに戻ったのは、素直によかったなと思う。


「俺たち、この街の温泉に、あんたたちに感謝してるんです! そうだ、この街にいさせてくれないか? 俺たち、なんでもするよ!」

「それは、まあ、いいが」


 ということで、新たに人間の男が15人ほど仲間になった。


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