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第16話 スライムガールが来たよ


 ワーウルフのリーダーは、ワルフと名付けた。

 そして俺の声がきこえるワーウルフの子供には、ミミコと名付けた。

 ワーウルフたちはゴブリンたちとうまくやっていた。

 ワーウルフたちはみんな肉食だから、俺の野菜を食べない。


 だけど、ワーウルフたちはみな戦闘能力が高く、この森の中でも狩りで獲物をとることができる。

 ワーウルフたちは定期的に、森の中に狩りをしに出掛けた。

 おかげで、ゴブリンたちも肉をわけてもらい、肉が食べられるということで、喜んでいた。

 ワーウルフたちは、その類まれなる戦闘能力と、狩りの能力をゴブリンたちに提供できる。

 

 ゴブリンたちは、その知能の高さや建築の能力を提供して、ウィンウィンな関係だった。

 ワーウルフたちは普通は木で家を作ったりなんかはしないが、ゴブリンたちに家を作ってもらっていた。

 そしてアラクネーたちに布団や衣服を作ってもらって、あたたかいと喜んでいた。

 もちろん、ワーウルフたちには毛深い体毛があるのだが、それでもやはり冬はそれなりに寒いようだった。


 しばらくそんなふうに、多種族の村として、世界樹の村は栄えた。

 ワーウルフたちがきてから、はじめてスライムがやってきた。

 いつもは普通の下級スライムが、俺に水をやりにくるのだが、今日はスライムの一番始祖となるやつも一緒だった。

 始祖とはいっても世界中のスライムの始祖という意味じゃなく、ここらへんのスライムたちの母親って意味だ。


 そう、最初に俺に水をくれた、あのスライムだ。

 例のスライムは、世界樹の実を食べてヒューマンスライムに進化し、そして今ではさらに進化してスライムガールになっていた。

 見た目は、ほぼ普通の人間の姿だ。

 ただし肌が青白くて、スライムでできている。

 けっこう可愛い。


 俺は彼女のことは、キャサリンと呼んでいた。

 いつもはキャサリンの子孫たちが、水をやりにきてくれる。

 キャサリンが村にくるのは初めてだった。


「あら……? しばらくこない間に、こんな村が……」


 やってきたキャサリンに、ワーウルフの若い連中が話しかける。


「なんだ? なにかようか?」


 そんなふうにいいながら、鋭い目つきで威嚇する。

 ワーウルフどもめ……喧嘩ぱやいんだから……。


「私はスライムガール。ここの世界樹に水をあげているの。あなたたちは……? どうやらここに住んでいるようね……?」


 キャサリンがそういうと、慌ててリンダがやってきた。


「あ、あんた……! あのいつものスライムたちの親玉かなにかか……!?」

「そうだけど……。いつものスライムは私の子供たちだよ?」

「そ、そうだったのか……! お、おいお前らこの人は客人だ。無礼なことはするな! 客間にとおせ!」


 リンダはワーウルフたちにそう命令する。

 さっき無礼な態度をとってしまったワーウルフたちも慌てて態度をあらためる。

 

「すまねぇ……まさか世界樹様の恩人だとは知らずに……」

「いいのよ、別に」


 リンダはキャサリンを丁重にあつかった。

 こいつらは俺のこと崇拝してるからな。

 そんな俺にいつも水をやっていたのがキャサリンだと知って、みんなキャサリンには頭が上がらないって感じだ。

 ゴブリンもワーウルフも、キャサリンのことを精いっぱいもてなす。


 しばらくリンダの家で話をしたあと、

 キャサリンはなにやら納得したようすで頷いた。


「うん、わかった。よし」

「なにがです……?」

「私もこの村に住んでいいかな?」

「えぇ……!? もちろんいいですけど……」

「なんだか楽しそうだし。私たちスライムも仲間に入れてもらおうと思って。スライムだって、いろいろできることはあるんだよ? 汚物を浄化したり、毒素を分解したりね」


 ということで、キャサリンを筆頭に、スライムたちもこの村に拠点を置くことにしたようだった。

 俺としてはまあ、彼女には恩があるから、もちろん賛成だ。

 ゴブリンやワーウルフも、スライムたちの有用さがわかると、すぐに歓迎しだした。

 下級のスライムたちは、肥溜めに溜まった汚いものをすべて浄化してくれる。

 それに、毒キノコなどの毒素を分解して食べれるようにしたりもしてくれる。


 また、水の持ち運びもできるので、水分にも困らなくなった。

 俺の野菜畑にも水をやってくれるので、野菜の収穫量もアップだ。


 こうして、また村はにぎやかになった。

 

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