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5-9,初撃




「他の異世界人たちはどうなるの?」

 とボクはなるべく動揺を隠しながらトラック様に聞いた。バレバレだったとは思うけど。

「どうもしやしないよ」

「それじゃ嫌だ」

 トラック様は驚いたようだった。

 ボクだって約束したから。

 そんな気安くみんなのことを置いてどこかに行くわけにも行かない。


 ボクはダメモトで聞いてみた。

「みんなの能力をもっと使いやすものにできないの?」

「能力を与えた後に手出しすることはできないよ。口出しくらいはできなくはないけど」

 まあ、予想通り。

 だとするとリントやルイ、ナツキもこのままにしておくのはすごく気がかりだ。

「それに、使いやすくするのはバランスが悪い。だってこの世界の理を壊すような能力を与えているんだからそれ見合う代償を与えておかないとすぐに世界のエネルギーバランスが崩壊してしまうよ」

「じゃ、なんでボクとナツキだけが干渉されないといけないのさ。あなたがバランスを考えて与えてくれた能力でしょ。余計な代償までつけてくれてさ」

「それを言われると痛いんだけどね。ボクだってミスくらいするんだよ。だからバランスが壊れる前にこうやって調整に来たわけだよ」

「ミス……そのしわ寄せをボクたちにさせようっていうわけだね。こんな脅迫みたいなやりかたで」

「そうだね」

「じゃあ言うことは聞けない」

「交渉決裂だね」

 そういってトラック様は黒い髪をなびかせて、ケイトの元へと歩いていった。


「さあ、ケイト。彼らを倒してくれ。そうすれば世界は救われるんだ!」

 人を悪魔か魔王みたいな扱いをしてくれる。

「はーいはいはい。やりますよ。そのかわり、あとは自由にさせてもらうってことでいいよな?」

「もちろんだ」

 ケイトはゆっくり立ち上がると「そういうことなんで」といって光の壁を作り出してきた。


「ナツキ、準備はいい?」

「最初っからできてる。ただ、俺の力だけじゃあの力に勝てそうないから、願いの力全開で頼む」

 ナツキがボクに願いの力を求めてきたのは初めてだったので少し驚いたけど、本気で戦おうとしてくれていることが伝わった。

「わかった。頑張る。絶対負けないでね」

 暗い通路の中だったのでボクの髪が青く輝き出したことが自分でもよくわかった。

 


 二人が睨み合いを初めて何分が経過しただろうか。

 生半可な攻撃が光壁に効かないのは隕石を防いだことでもわかる。

 だけど、相手の攻撃がないのはなんでだろう。

「どうした、かかってこないのか?」

 ナツキが煽るとケイトは

「そっちこそ。いつまでにらめっこ続けるつもりだ」

 といって自分の周りに展開した光の壁をぐるぐると旋回させるだけだ。


 達人同士の立ち会いじゃあるまいし、間合いの探り合いとかはないはず。

 それに、お互いの手の内もある程度知っている。 

 にも関わらずナツキも攻撃しない。しても弾かれるから?

 

「ねえ、ナツキ。なんでケイトは攻撃してこないのかな」

「俺さ、ずっとあいつの戦い見てて思ったんだけどさ、あいつ、攻撃されない限り攻撃できないとか、そういう代償があるんじゃないのかと思うんだよ」

「あ、なるほど」

 ケイトの能力は無敵のバリアだ。名前は知らないからバリアって勝手に呼んでるけど。

 一枚二枚なら強力な攻撃で壊せるようだけど、無尽蔵にバリアを何枚も出してくる。

 本気を出せばどんな攻撃でも防げるくらいだ。

 だけど、これまで攻撃らしい攻撃をしていない。

 向かってくる兵士を払い飛ばしたり、あとは王宮を吹き飛ばしたりしたくらい。

 防御力に対して攻撃力はそこまで高くないのかもしれない。

「だけど、このままじゃ埒が明かないね。かといって生半可な攻撃をしても逆効果か」


 ボクたちが話しているとケイトが口を開いた。

「あーなんかバレたみたいだな。でも俺にはこれがある。俺にはどんな攻撃も効かないぞー」

 と言いつつ壁を何枚も出して見せる。

 あの枚数には限界はないのかな。

 でも隕石を防いだ時、ケイトは腕を怪我してなかったっけ。

 隕石くらいの威力が出せれば、ダメージは与えられるかもしれないけど、今のナツキにそんな攻撃ができるのか。


「こうしてても埒が明かない。ナツキ攻撃しよう。こっちには超回復があるんだから怪我したって大丈夫だよ」

「そうだな」

 そういってナツキは一番最初に覚えた技、腕を『鎌』に変形させた。

「がんばって」

 ボクは祈る。さらに強く光り輝くボクの髪。


「こーい!」

 のんびりした口調だけどケイトは幾重にもバリアを重ねて守りを固める。


「いくぞ!!」

 ナツキが飛びかかる。瞬間、甲高い音がして、強い衝撃を受け、ボクは気を失ってしまった。





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