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000:プロローグ

新作です。

よろしくお願いいたします。

 勇者とは、我ら魔界の住人の脅威となる存在である。

 長く長くいがみ合う魔界と人間界、その関係が停滞を続けているのは、魔王と勇者という対立関係が崩れないからだ。


 ——そんな中で、俺は今勇者を育成するための学園に在籍していた。


「では皆さん。本日は昨日の続きです。教科書十六ページを参考にしながら、魔力を操る訓練を行いましょう」

 

 教卓に立つ教師が、そんな指示を飛ばしてくる。

 生徒たちは各々返事をし、教科書を開いた。

 

 あまりにも馬鹿馬鹿しい。


 俺は指先を動かし、上手く魔力を(・・・・・・)操れない(・・・・)フリをしながらため息をつく。

 こんなもの、魔界では幼少期に勝手に身につくものだ。

 それをこの王立ランドム勇者学園では、一年生である十五や十六歳の連中に小難しく教えている。

 初めからこれができるのは、一部の優秀な貴族の血縁か、さらにほんの一部の天才だけだ。

 この教室の中で目立たないように過ごすには、できないフリをして注目を浴びないようにするしかない。


(……早く帰りたいと思った任務は、後にも先にもこれ一つだろうな)


 なぜ魔界の住人である俺がこんな場所にいるのか、それは魔王様に命令されたからに他ならない。

 現在の人間界の戦力調査、それが俺に与えられた潜入任務だ。

 俺はこれから勇者として活躍するであろう彼らの実力や環境を見極め、魔王様へ報告しなければならない————が。


「一体、なんと報告したものか」


 皆が集中していることをいいことに、俺はボソリとつぶやいた。

 ひとまず現状で報告できることがあるとすれば……。


 勇者が弱すぎる————。


 と言った程度だろうか。

 俺は隣で魔力操作に手こずる男子生徒の手つきを見様見真似で再現しながら、ふとこの任務を受けた時のことを思い出す。

 

 そう、あれは今から二ヵ月程前の出来事だった。

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