第四話 転生したら、勇者のおまけだった件。
皆ぁ! 聞いてくれ!
シャークは後書きで死ぬ程面白いことを言う!
宣言する、神に誓おう。
だからよぉ、本文見ながらゆっくり後書きまでスクロールしていってくれ。
ゆうしゃ? なにそれおいしいの?
美少女が俺たちをさっきまで、胴上げしていた化け物を素手でボコボコにするところを眺めながら、そう思った……ってか素手でボコすって結構ヤバくない? この娘もしかしなくとも、かなりお強い?
「えっと……じゃあ俺が勇者って事でいいの? ケンヤじゃなくて?」
カケルが少し困惑した様子で、美少女に問う。
「はい、間違えありません。この参考書からは、女神様の力を感じますから。」
そう断言する美少女。くっそー! 何で俺じゃないんだ! いや、まだ分からないぞ? 俺とカケル、二人とも勇者って可能性もあるじゃないか。カケルと同じって所が気に入らないが、まぁそこは今後の努力次第って事で、まずは確認してみないとね。
「あのー? 俺も勇者ですよね?」
俺がそう聞くと、美少女は少し困惑した表情で。
「えっと……あなたからは、女神様力を感じないから、なにかこの世界に来た時に、一緒に来た物とかありますか?」
「あれ」
「へ?」
「だから、あれ」
俺と一緒に来た物、UFOキャッチャーだ。美少女は先程より困惑した様子で、UFOキャッチャーを観察している。そして申し訳なさそうな顔で、こう言った。
「残念ながら、あなたは勇者様ではありません」
…………………………。
静寂が辺りを支配した。
「……と、とりあえず、そんなかしこまらなくてもいいから、キミの名前を教えてもらえるかな?」
カケルの優しい気遣いが、心に染みるぅ。さっきまで自分の事を、化け物呼ばわりしていた俺にこの優しさ。惚れてまうやろ。と、無駄な事を考えれるまでは回復した俺。これも、全部カケルのお陰やな。
「えっと、私はアオイ。水谷アオイ、キミたちと同じ日本人だよ」
なるほど、アオイちゃんか……可愛い名前やな。っていうか日本人だったんか……道理で日本語が通じる訳だ。
「よろしくアオイ、俺は内堀カケル。んでこっちで蹲ってんのが、工藤ケンヤだ。突然で悪いんだけど、この世界について教えてくれない?」
「分かったよー、じゃとりあえず説明していくね」
と、ここからアオイによる異世界講座が始まる訳だが、話が長かったのでこの勇者じゃないクソザコの俺が噛み砕いて説明させて頂きます。
アオイ曰く、この世界は元々人族しかいなかったらしい、だがある日突然一人の魔族が現れた。その日を境に、平和だった世界にモンスターが現れ出し、世界は平和ではなくなってしまった。というのが、この世界のあらすじらしい。ちなみに、魔族はほとんどが黒髪で、人族に黒髪の子が産まれて来た際には、魔族に愛された子として忌み嫌われるらしい。
カケルはお母さんがノルウェー人、お父さんが日本人のハーフで、髪は母親譲りの銀色だから良いとして、問題は俺。俺は生粋の日本人だから、髪の色は黒。終わったー。なんて考えていたら、俺の心情を察したのかアオイが「ケンヤは、そのUFOキャッチャーを見せれば大丈夫だと思うよ? それは転移者の印だからね」と、言ってきた。
ふぅ、危ない。勝手に呼び出されて、しかも嫌われるなんて嫌だしね……。ふと俺は、思ったことを口にした。
「でもこれ、持ち運びどうしよう……」
…………………………。
再び、静寂が辺りを支配した。
ヤバい、どうしよう……前書きにノリで面白いこと言うとか言っちゃった……。
何も考えてない……そうだ! 前シャークの知り合いが言っていたことを言おう。
行きます。
足湯をフット(足)バス(風呂)!!!