プロローグ クソザコ主人公、一名様入りまーす
小説家になろう初投稿です。暖かく見守って下さい。
俺は今、ゲームセンターにいる。
俺は今、一台のUFOキャッチャーの目の前にいる。
なぜかって? それはだな……こいつが欲しいからだよ!
俺の目線の先には、某有名海賊アニメに出てくるトナカイのぬいぐるみが、ちょこんと座っている。
高校生にもなってぬいぐるみが欲しいなんて恥ずかしい、と思ったそこのキミ!! 断じてそんなことはない。なぜなら、キミは高校生になってもお母さんにべったりで、ママ、ママ言っている人を見て恥ずかしいと思うだろうか? ……ごめん、俺は思うわ。完全に喩えが悪かったな……うん。
ま、まぁそんな事はどうでもいいんだ、まずはこれを取らないと何も始まらないからな。
俺はそう自分に言い聞かして気持ちを切り替え、そのUFOキャッチャーを様々な角度から見て、ぬいぐるみとアームの距離を確認する。
となんかプロがやってそうなことをやってみたものの、俺はUFOキャッチャーをやる事が初めて、と言うかゲームセンターに来ること自体が人生初なのだ。だからこの行為にどういう意味があるのか、全く理解していない。まぁなんとかなるでしょう、男は度胸だ!ヘイ100円!
UFOキャッチャーに100円を入れると、ボタンが光りアームが動かせるようにな……る? あ、あれ?100円が入らない??
俺が100円を入れようとすると、挿入口より少し100円が大きいいらしく、なぜか100円が入らない。
あれぇ? こういうのって大体100円入れれば動くんじゃないの? とりあえず店員を呼ぶか。
俺が店員を呼ぶために立ち上がろうとしたその時、一枚の貼り紙が目に入った。
「この機器は専用のメダルを使用するため、隣の両替機にて両替を行って下さい」
そのまま視線を横にずらすと、両替機が置いてあった…………。
まぁそんな事はどうでもいいんだ、まずはこのぬいぐるみを取らないと何も始まらないからな。
俺はそう自分に言い聞かして気持ちを切り替え、UFOキャッチャーにメダルを入れる。勿論これが専用のメダルを使う事は初めから知っていた、そう知っていたのだ。決してメダルを使うUFOキャッチャーに、頑張って100玉を入れようとしていた自分が恥ずかしかったから、何事もなかったかのように最初からやり直して、誤魔化そうとした訳ではない。ないったらない。
そんなこんなで、やっと俺はUFOキャッチャーを始めることにした。まず、左向きの矢印が書いてあるボタンに手を置き、神経をアームと手に集中させる。すると、さっきまで聞こえていた音が急に聞こえなくなった。
まるで世界がアームの命運を固唾を飲んで見守っているようだった。
この時は、これが噂に聞く集中すると周りの音が聞こえなくなるってやつか、と呑気に考えていたが今では、その理由がはっきりとわかる。
なぜなら俺はその時世界を渡っていたのだから。
ここまで読んでくれたあなたが大好きです。
ちょっとそこ、気持ち悪いとか言わないの!