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秘密の薬屋
昔々、魔法の珍しくないはるか昔、あるところに知る人ぞ知る薬屋がありました。その薬屋は容姿端麗な、主人が一人で営んでおりました。少し長めの白銀色の髪を軽くうしろで結び、綺麗な青い目をしたその主人は、見た者を一瞬のうちに引き込んでしまうほど美しく微笑み、人をお店へ招いていました。
しかし、ある日、今までどんな依頼も引き受け、どんな病も治してみせたその主人は突如姿を消しました。お店も跡形もなく消え去りました。行方を知る者は誰一人おりません。
月日は流れ、ビルの建ち並ぶ現代に、ひっそりととある薬屋が現れました。その薬屋はベルのついた扉を開くと奥から主人が現れ、美しく微笑み、綺麗な声でこう言うそうです。
「いらっしゃいませ。こちら、秘密の薬屋です。」