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迷い込んだ先は隠世でした  作者: たぬき
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特別な部屋

よろしくお願いします


京都の実家は、祇園寺の近くだった。

修学旅行で一度行ったことがあるだけの京都なので、あまり知らない。


「ここ、ここ」


結構大きな一軒家だ。

ここで祖父と祖母の二人暮らしをしているのだろうか。


「・・・大きいですね」


「そうかしら?」


うーん、私の家はアパートだったからか、大きく感じてしまうだけかもしれない。


「お邪魔します」


中に入ると畳の匂いがした。

何故か懐かしい香りの気がする。


「桜ちゃん。荷物、預かるよ」


私の手には、キャリーケースがある。


「ありがとうございます」


一旦預けておいた方がいいだろう。

邪魔になるだけだしね。


「桜ちゃんの部屋はここね」


案内されたのは、1階にあるドアを開けて階段を登ったところ。

渡り廊下や階段は、歩く度にぎしぎしという。

古い家なのだな。


「屋根裏部屋みたいですね。素敵です」


畳に押し入れと天井の低い部屋だ。


「んー、屋根裏ではないのよ。二階の部屋なんだけど、長い間使っていなくてね。

私とあの人は1階しか使っていないし」


成程。

埃っぽくは無いような・・・

周りを見回してみる。


「あっ、でも安心して。掃除したからね」


急いで付け足す。


「ここの部屋は特別な部屋なの」


特別?

どういう意味だろう。

私が?マークを浮かべていると

ふふっと意味ありげに笑う。


「過ごしたら分かると思うわ」


古い家には付喪神がいるとよく聞くけれど

そういう類のものだろうか。


物語上でしか見れない非現実的なことを考える。


結構、信じちゃうから。


「桜の荷物、持ってきたぞ。荷解き手伝おうか」



丁度いいタイミングで荷物が届く。

荷解きと言っても、そんなに量は無いんだけどな。

キャリーケースを一個分だし。


「自分でする」


「そうよー。女の子の荷物はねえ。見てほしくないと思うわ」


頬に手を当て、祖母が言う。


いや、そういう訳ではないのだけど。


自分で出来る量だしなと思ったからだし。


「そうか・・・」


しょぼんとした顔で祖父が言う。


隣にいる祖母が「この人、孫に頼られたいのよ」と耳打ちする。


「あの、困ったことがあった時は、お願いします」



「もちろんだとも!」


ぱあっと顔が明るくなる。

うん、可愛い人だ。







ありがとうございました

続きます


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