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勇者の戯言  作者: 冴あき
9/11

第9話決着

 俺が、勇者だ!

 俺が、勇者だ!

 俺が、勇者だ!

 心の中で何度も連呼していたアンソニー。


 だが、その心の動きも、心で叫んだ言葉も、思いも全部魔王には筒抜けなのか?


「今、俺が、勇者だ!と叫んでおろう!?」

「なぜ、それを!!」

「フフフフッ!単純なこと!!!だが、邪魔者がまだいる!さっさと吹き飛べ!」


 そういった後、魔王は、パーティメンバー、アンソニー以外の2名を一瞬で吹き飛ばした。


「お前ら!!大丈夫かぁ!?」

「・・・・・」

「もう、声など聞こえん!死者を蘇らせる魔法で、蘇らせるか?だが、すぐにでもワシは、ドローンと言って、そいつらを殺すがな!!どうする?」


 くそっ!俺の行動も、お見通しか!!?どうする?俺・・・アンソニーよ!!

アンソニーは躊躇した。だが、魔剣の威力を信じた。魔王城に入って、魔王と戦うまで、優にレベルは20上がったはず。現在はレベル59だ。だから、パーティメンバーなど居なくとも、魔王ひとりどうということは・・・ない・・・。


「ブリザード!」

「フレイヤー!!!」

「フォーックス!!」


 魔剣から、3種類の攻撃を繰り出し、魔王を切りつけた。


「ウヌヌヌヌヌヌ!!!やりおる!だが!」


 魔王も必死に打ち返す。しかし、勇者の一太刀には到底及ばない!


「最後の一太刀だ!喰らえ!」


 その言葉発した時、魔王は自分の保身のためか、奇妙な言葉を吐いた。


「まっ待て!ワシは、勇者だ!」

「ワシは、勇者!」

「何を訳のわからんことを!喰らえ!!」


 勇者アンソニーは、最後の渾身の一太刀を魔王に浴びせた。


 魔王は、奇妙な言葉を連呼して息絶えていった。


「ワシが、勇者だ!」

「ワシは、勇者だ!」

「ワシが、勇者だ!」

「ワシは、勇者だ!」

「ワシこそ!!」


「ワシこそ・・・ゆ・う・しゃ・・・・・」


 やっと、魔王を倒すことに成功した勇者。見事世界の平和を取り戻すことができた。


 だが、ある日。世界は変わった。


 そう・・・。


 勇者アンソニーが、見事魔王に勝った日からだ。だが、モンスター達は消えなかった。魔王を倒した事で、消えるはずのモンスターが消えない。モンスターたちが、村や街を襲う事件が多発していた。


 金品を盗んだり、人々の命を狙ったり・・・。そんな光景が、世界中で繰り広げられていた。もうとっくに魔王は滅んだはずなのに・・・。

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