第9話決着
俺が、勇者だ!
俺が、勇者だ!
俺が、勇者だ!
心の中で何度も連呼していたアンソニー。
だが、その心の動きも、心で叫んだ言葉も、思いも全部魔王には筒抜けなのか?
「今、俺が、勇者だ!と叫んでおろう!?」
「なぜ、それを!!」
「フフフフッ!単純なこと!!!だが、邪魔者がまだいる!さっさと吹き飛べ!」
そういった後、魔王は、パーティメンバー、アンソニー以外の2名を一瞬で吹き飛ばした。
「お前ら!!大丈夫かぁ!?」
「・・・・・」
「もう、声など聞こえん!死者を蘇らせる魔法で、蘇らせるか?だが、すぐにでもワシは、ドローンと言って、そいつらを殺すがな!!どうする?」
くそっ!俺の行動も、お見通しか!!?どうする?俺・・・アンソニーよ!!
アンソニーは躊躇した。だが、魔剣の威力を信じた。魔王城に入って、魔王と戦うまで、優にレベルは20上がったはず。現在はレベル59だ。だから、パーティメンバーなど居なくとも、魔王ひとりどうということは・・・ない・・・。
「ブリザード!」
「フレイヤー!!!」
「フォーックス!!」
魔剣から、3種類の攻撃を繰り出し、魔王を切りつけた。
「ウヌヌヌヌヌヌ!!!やりおる!だが!」
魔王も必死に打ち返す。しかし、勇者の一太刀には到底及ばない!
「最後の一太刀だ!喰らえ!」
その言葉発した時、魔王は自分の保身のためか、奇妙な言葉を吐いた。
「まっ待て!ワシは、勇者だ!」
「ワシは、勇者!」
「何を訳のわからんことを!喰らえ!!」
勇者アンソニーは、最後の渾身の一太刀を魔王に浴びせた。
魔王は、奇妙な言葉を連呼して息絶えていった。
「ワシが、勇者だ!」
「ワシは、勇者だ!」
「ワシが、勇者だ!」
「ワシは、勇者だ!」
「ワシこそ!!」
「ワシこそ・・・ゆ・う・しゃ・・・・・」
やっと、魔王を倒すことに成功した勇者。見事世界の平和を取り戻すことができた。
だが、ある日。世界は変わった。
そう・・・。
勇者アンソニーが、見事魔王に勝った日からだ。だが、モンスター達は消えなかった。魔王を倒した事で、消えるはずのモンスターが消えない。モンスターたちが、村や街を襲う事件が多発していた。
金品を盗んだり、人々の命を狙ったり・・・。そんな光景が、世界中で繰り広げられていた。もうとっくに魔王は滅んだはずなのに・・・。