異世界トリップ~巻き込まれた苦労性勇者の場合~
なあ、勇者って知ってるか?
そう、あの物語とかに出てくるやつ。
仲間集めて魔物倒して、最終的に魔王を倒すってあれ。
まあ、誰でも知ってるよな~
ここだけの話、俺、結城心は勇者です。
現在地は牢屋の中だけど。
「どうしてこうなった…」
昨日の夜久しぶりに残業がないからすかーいぷでチャットしてたら、
突然まぶしい光がパソコンから出てきて、
すわ爆発か?!って思ってとっさに防御用のシールド(一応勇者だからこれくらいはできる)を張って、
次に来る衝撃に備えてたらなぜか落下してて…
何かを突き破って柔らかいところに落ちたと思ったら…
そこは王様の寝室だったんだとさ!
…それで騒音を聞いて(屋根突き破ったもんな~よく王様無事だったよね)駆けつけてきた兵士に抑えられて牢屋に入れられましたとさ…
俺…運悪くね?
思えばガキの頃から運は悪かったよな~…
生まれたときに手の甲に変なあざがあって気味悪がった両親に捨てられ…(後に勇者の証と判明)
孤児院をたらいまわしにされ…(うん、現代日本でよかった、でないと途中で絶対売られてたよ)
中学の時に魔王に出会い…(フレンドリーに「ヤッホー勇者ー遊びに来たよー」って現れたよな…)
その後からずっと魔王に付きまとわれ…(当時やっと一人暮らしを始めた家に入り浸ってご飯をねだったりされた)
魔王にいろいろなことに巻き込まれたり…(銀行強盗の目の前に転移されたり、どっかの戦争地に投げ込まれたり)
魔王に勧められて就職した会社が社畜製造機だったり…(魔王の協力でクリーンな会社にしたのは先日の事だ)
なぜか今の会社で役員にされたり…(魔王が腹を抱えて笑っていたのでおやつのプリンを没収した)
…あれこれほぼほぼ魔王のせいじゃね?
初めて会った時に倒しときゃもっとましな人生遅れてたんじゃね?
や、でもあいつ人類滅亡より日本の和菓子コンプリートに燃えてるしなあ・・・
ああ、そういえば今度練り切り作ってやるって約束したっけ
材料あったっけなあ…
「ちゃんと買ってきたから大丈夫だよー」
「抜け目ないってことか…ほんとこういう時は…ん?」
「ん~?」
「お前いつの間にここに来た?!」
「え~っと人類滅亡より…ってとこから!」
「あれ俺声に出してたっけ?って今更か」
「腐っても魔王ですから!きらーん」
「口で効果音言うのはキモいからヤメロ」
「はーい、で、王様の寝室に侵入した暗殺者(笑)さん?私と一緒に処刑される前に逃げませんか?」
「あーうん、そうだと思ったけどまさか翌日に処刑されるとは思わなかったよ…」
「ねーすっごくビビりなんだねここの王様!」
「はあ…処刑されるんなら別に逃げてもいいか、殺される義理はないし」
「だねーって早?!もう牢屋の鍵開けちゃった?!」
「現代日本のやつより簡単だろこんなの」
「ごもっともー、で、どこ行く?」
「ほかにも誰か来てるのか? この世界に」
「すかーいぷメンバーの何人かが居るよー?
喚ばれた場所であほ面晒してたり、
違うところで落っこちてたり、
二人くらい引きこもってたり、
腐教してたり…」
「今ので誰が来てるかは把握したけど・・・最後待て、なんかイントネーションがおかしい」
「キノセイサ★」
「はあ…適当に一番近いやつから回収しに行くぞ、どうせ元の世界には戻れるんだろう?」
「もっちろん抜かりないよ!それじゃあ Let's go!!」
無駄にいい発音だな…
さてはて、あいつら大丈夫かねえ…?
あと魔王そっちは牢屋の奥に行く道であって出口じゃない。
…他のやつら見つけることできんのかこれ?
まあ、それまで他のやつらの所でも覗いててくれ
「ご苦労様勇者くん」
「そう思うなら阻止しくださいよ…」
「俺はそこまで万能じゃないよ」
((胡散臭い笑顔だ…))
「なにか思ったかい?」
「イイエナンデモ」
「まあ、いいか」
「「それでは感想よろしくお願いします」」
「ほかの子達の話もよろしくお願いしますね~」