第一話「ほぼ私の愚痴、ちょっとだけ不思議な人」
パンを入れる。
そしてまたパンを入れる。
私は今日一日、この作業に全てをかけることにした。
ただ、この作業には一つだけ欠点がある。
それは・・・・・・
「・・・・・・暇だ。
暇だ暇だ暇だ暇だー!!」
「ねーちゃんうるさい! さっきからずっとパンばっかり食べてるけどさー、暇なら勉強でもしたら?」
あのなぁ、我が弟よ・・・・・・、
お姉ちゃんは、暇だけど勉強がしたいわけではないんだよ・・・・・・。
「・・・・・・じゃあ、私はなにがしたいんだ・・・・・・」
私、佐々木雪菜は、ど田舎で毎日蒸し暑い場所に住んでいる。
町内には学校が一件、全校生徒は十四名である。
でも私はそんな学校でも気に入っているのだ。
それに、人生において楽しみというのが学校しかないからな。
「なんか、非日常的なこと起こんないかなー・・・・・・」
今日は夏休み期間なので学校が無いのだ。
より、つまらなさが増す。
「こんな毎日、つまんない・・・・・・」
ピンポーン
隣のおばさんか?
「はーい、今出ますー」
歩くのもだるい・・・・・・。
ガチャ・・・・・・
「はーい・・・・・・」
「すっ、すみません!! 家の中に入れてください!!」
「は!? ちょ、ちょっと!?」
「不審者に追われてるんです!!」
「はぁ!?」
こんな田舎に不審者!?
そんなの、初めて聞いたぞ!?
「入りますよ!!」
「ちょ、ちょっと・・・・・・!?」
バタン・・・・・・
「た、助かりました~!」
「・・・・・・通報しますよ?」
「えぇ!? なんでですか!?」
「いや、普通に考えたらわかりますよね!? 勝手に人の家に入って、それに・・・・・・」
はっきり言って、お前の方が不審者だぞ!?
なんなんだよ、お前のその格好!!黒のコートに黒のマスク、挙句の果てには黒のマスクだぞ!?
「怒ってますか?」
「そりゃあ怒ってますよ!」
「そうなんですか・・・・・・。すみませんでした」
な、なんだ!?めっちゃ礼儀正しいな!!
「も、もういいですよ。それより、あなたは誰なんですか?」
同じ町内の人だったら絶対に知っているはずだが、初めて見る顔だ・・・・・・。
「はいっ、自己紹介が遅れました!
僕は、浅井勇希と申します!」
「浅井、勇希・・・・・・?」