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二年目 春 ー33

 播磨はリトルリーグの頃はキャッチャーを務めていた。


 競争率が低いポジションなら、試合に出る機会も増えるだろうという考えではあったが、生憎起用の殆どは代打であった。


 それでも、数試合に一本でもヒットを打てば仲間は盛り上がってくれるのが嬉しくて、打撃を磨いた。


 やがて中学に上がると正捕手として地区大会に出場していたが、スタメンではあまりに打てないので控えに回される。


 二年の秋の大会、乱打戦になりながらもリードして迎えた終盤、播磨は唐突に監督からマウンドに上がるように指示された。


 エースが降板後、数人のリリーフで繋いだものの抑えられず、一点差まで追い上げられたところでチーム内では肩が比較的強い方の播磨がピッチャーに選ばれたのだ。


 思いっきり投げろと言われ、播磨は盗塁を刺したりバックホームをする感覚で腕を振るったが、初球が相手バッターの懐に当たりデッドボール、満塁のピンチを作ってしまう。


「俺が抑えてれば、お前等に投げさせる必要もなかった」


 外野からマウンドに戻ってきた先輩のエースは、入れ違いに外野へ向かおうとした播磨の横でそう呟いた。


 結局、その後エースも制球が定まらず押し出しの四球とタイムリーを打たれて逆転を許し、試合は負けた。


 もし、自分が少しでも投手としての練習を積んでいれば、アウト一つぐらいはとれていたかもしれない。


(あそこで抑えてたら、我はヒーローだったかもしれん)


 高校は練習に対して厳格ではないと噂の水美を選んだ、希望ポジションは捕手と言ったが、自主練の時にネット動画で見た投げ方を試しているうちに、乃村を通して監督から投手もやるように指示された。


 リリーフは先発に比べると評価が低いかもしれないが、先発が投げ切れなかったイニングを抑えるのはリリーフにしか出来ない。


 他人のピンチを救うなんて、まさに救世主みたいじゃないか。


 練習試合で僅かにあった登板機会、抑えたり失点したりを繰り返したが、甲子園のブルペンに入る事は出来た。


 そして訪れた同点でのリリーフ機会、播磨が燃えない訳がない。


「鮮烈デビューじゃい」



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