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春 - 17

 部屋に入った雄一は、電気も付けずにベッドの上に仰向けに寝そべる。

「……やる気ねぇ」

 良い印象を抱いていた訳でもないのに、思わずあの鈴浪という後輩の女子を呼び止めてしまっていた。

 しかも聞かれていないのに、余計な事も口にしてしまった。

「そういや悔しがってなかったかもなぁ、最近は」

 1年の後半、秋ごろから最近に至るまでは、久しぶりに練習試合でスタメン起用されても、打てても打てなくても、あまり感情が起伏しないような気がしていた。

 野球をするやる気がないつもりはなかったが、やる気に満ち溢れている訳でもなかった。早希に練習に臨む態度を非難されなければ、それすら自覚出来なかっただろうが。

「監督も変な事言ってたなぁ、俺が悔しそうにしてるのがそんなに珍しいのか?」

 ただ、今日の試合に関しては確かにいつも以上に神経を集中させてプレイしてた気がした。

 果たしてそれが自分にとってプラスに働くのかどうか分からないものの、今日の試合では無性に打ちたいという気持ちが強かったのは確かだ。

「……感謝すべきなのか?」

 野球に対する意識を改める機会だというのか、手を抜いていたつもりはなかったのだが。

「まあ確かに、今日は真剣にやってたかもな。いつもより」

 自分で言っていて、鈴浪という知り合ったばかりの後輩に影響を受けている自分に若干情けなさを感じた雄一は、一度頭をリセットする目的で机について宿題に手をつけ始める。

「あ~、当たりは良かったんだがな」

 しかし、ヒットが出てればあの後輩に自慢出来たんだろうなと小さな悔しさがいつまでもつきまとって、結局その日はまともに宿題を進める事が出来なかったのだが。


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