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秋 - 23

「真っ直ぐに絞るしか……なさそうだな」

 試合を見る中で、雄一は万戸と対戦した時をイメージし、狙いを絞った。

 試合は八回表に入り未だノースコア、この回は相手のクリーンナップに打順が回る。

「踏ん張りどころやなあ」

 監督がボソリと漏らし、部員達にも緊張感が一層増す。

「播磨は?」

「肩作ってるぜ」

 竹中に言われ視界を動かした雄一は、ブルペンに入り、軽くだが投球練習を行っている播磨を見つける。

「ミットだけとか言って、全然投げる気じゃん」

「そりゃまあ、ああすりゃ臣川はムキになるからなあ」

 臣川はマウンドを他人に譲ることを極端に嫌う。

 なのでブルペンでリリーフの準備が目に入ると素人目でも分かるくらい投げる球に勢いが増すのだ。「あれもチームのために、か」

 臣川はワンアウトを取り、四番の赤村との勝負を迎えていた。

 二球ともファールで追い込んだ後、ストレートを続けて真っ向勝負を挑んでおり、心なしか目も先程よりギラついているように見える。

「でも、高めに浮いてませんか?」

 だがそんな臣川の投球を見ていた円山が何気なく、素直な感想を口にした時だった。

 ガキン! と甲高い音が響いたかと思うと、打球は鋭く大気を切り裂いて左中間へ飛んでいく。

「あ、やば」

 バッターは二塁まで進み、あっという間に先制のピンチが訪れた。

「円山~」

「えぇっ!? 私何もしてないですよ!」

 苦笑する竹中やチームメイト達はすぐに表情を正し、グラウンドに向き直る。

 バッターは五番ピッチャーの万戸。

 エースとエース、試合の流れを左右する場面で互いのチームの要が激突する事となった。

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