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秋 - 12

「どりゃっしゃあ!」

 葵田の咆哮と共に、打球はライトスタンドに向かって飛んでいった。

 一打席目のヒットに続く活躍にベンチは大いに沸き、スコアボードに水美の得点が追加される。

「やるなぁ葵田!」

「ははっ、どうも!」

 旗川の称賛ににやけながら応える葵田を、雄一は横目でじろりと見つめる。

「やりますよね~葵田君」

 それを見ていた円山が、にやつきながら話しかけてきた。

「お前わざと言ってるだろう」

「はい?」

「っ、まあいいけど、ちょっとスコアブック見せてくれ」

 無意識な煽りに眉を潜めつつ、半ば強引に彼女の手からスコアブックを奪う。

「え、どうするんですか」

「ん、ちょっとな」

  雄一はデータを一瞥し、目を細める。

 その後、試合は得点が入らずに進む中、雄一は何度か立ち上がって屈伸とストレッチを繰り返し、体を温めていた。

「じっとしてろっての!」

 同じ二年の高井に注意されるが、雄一は聞き流すだけで腰を下ろさない。

「俺もやる気になってるんだ、お前に練習態度を叩かれたのを気にしてな」

「ふん、ストレッチでやる気を出されてもうざったいんだよ」

 高井は相変わらず雄一には当たりがキツい、元々馬が合わないのだが、高井が初めてベンチ入りとなった秋からはそれも余計に激しくなっていた。

 最も雄一は聞き流すだけでまともに相手をする気はないのだが。

「……っ」

 マウンド上のピッチャー三瀬はつまらなそうな顔をしてはいるが、戦意を失っているようには見えない。

(接戦なら、俺に出番はある筈だ)

 三瀬は大崩れするようなピッチャーには見えない、となるとチャンスもそう多くはないだろう。

 そう思いながら、スコアブックに乗る自身のデータを見て、雄一は気合いを入れ直した。


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