表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
126/218

秋 - 10

「まァなんだ、それなりに頑張りましョう」

 試合前の円陣で、県工のエースでありキャプテンの三瀬は、気だるげ全開の声色で部員達を鼓舞した。「なんですかその腑抜けた喋り方」

「いやァ、何回休み潰されたかと思ったらイラァとして」

「三瀬が相手を抑えちまうからだろ~」

 ケラケラと笑い、選手達の間に和やかな空気が漂う。

「……まァでも、負けに行くのも嫌なんで、出来るだけ抑えるように」

 おぉっすという掛け声の後、三瀬は先発投手としてマウンドに向かう。

(あァだるいな、何球投げれば終わるんだか)

 先輩の代役で登板して好投した時から全ての試合でピッチャーを任せられた三瀬は、毎回百球以上投げさせられ、正直うんざりしていた。

(打つ方が楽しいってのに、なんでこう)

 手に息を吹き付け感覚を確かめてから、ボールを握り締める三瀬。

(あァくそ、二十七球で終わらせるぞくそ)

 プレイボールのコールが響き、キャッチャーのサインを凝視する。

(やりたくねェけど、わざと負けるのは嫌だしよォ)

 そして投じられた一球目は、バッター鉄山が思わず仰け反るほど厳しいインコースへのストレート。

 面倒臭がる本人とは真逆の強気な一球であった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ