申し訳程度の夏服成分
ゴールデンウィークの旅行の帰り道、ずっと陽太先輩のことを意識してしまう自分がいたが、なにか忘れている気がする。
そうこうしていると家に着いて家の前で仁王立ちする父親を見て思い出した。
「さようなら、お兄ちゃん。」
私はお兄ちゃんにそう言うとお姉ちゃんの腕を引いて家の中へと入っていった。
10分ほど父の怒号が聞こえていて、20分後位に父と泣いたお兄ちゃんが入ってきた。
「ごめんよ、華那…もうしないよ」
いや…やられたの愛莉だから私に言われてもね…愛莉気づいてなかったっぽいし、まあいっか!
それからゴールデンウィークはイベント事が無く、愛莉や陽太先輩などと遊んで消化していった。
そして梅雨の時期6月がやってきた。ジューンブライドと言われてるけど、べたつくし湿気がいっぱいだし花嫁や新郎は嫌だろう…そんな鬱っぽく思っているとお姉ちゃんが話しかけてきた。
「華那、そういえば明日から夏服だよー」
「えっ、私担任から聞かされてないよ」
そういえばあの担任もの凄く適当なやつだったな…
「担任の先生が伝えてないだけだと思うけど、とりあえずお姉ちゃんからは伝えたからね、おやすみなさい」
「うん、おやすみなさい。」
時計を見たら22:30だった、女の子になってからお肌とか気にするようになって早めに寝るようにしていて、今日もそんな感じで眠った。
次の日の朝私は夏服に着替えて姿見を見たとき学校に行くのを嫌になった。
「な、なんでブラが透けてるんだよ…あとスカートも薄くなってパンツ見えかけじゃん…」
これは、恥ずかしすぎる!
「華那?どうしたの?…あー、何となく気がついたよ。サマーセター着れば?」
「サマーセーターか!でもパンツ見えるのはどうしよう…」
本気で悩んでいるとお姉ちゃんが酷いことを言ってきた。
「慣れよ、慣れ」
私はサマーセータ―を着て学校に行った。
教室は案の定、冬服の生徒が何名かいた。
「満月さん、なんで夏服なの?」
冬服を着た優姫さんが聞いてきたので、”お姉ちゃんが今日から夏服だよって教えてくれたよ”と言うと優姫さんは、はっ!としてクラスの掲示物コーナーを見に行くと項垂れていた。多分担任が貼って放置していたのを見つけたのだろう。
「おはよう愛莉、愛莉は夏服なんだね」
「あ、おはよう華那、掲示物コーナーに張り紙があったからね」
やはり愛莉は真面目な子だなぁ…
私は一時間目の授業は授業を受けているふりをしていて、あまり集中できなかった。ゴールデンウィークのときからずっと陽太先輩のことが、すぐ頭にでてくるようになったからだと思う。
結局6時間目まで勉強に手がつかず、顔を赤らめたり冷ましたりしていた。そして部室に行き、席に座り項垂れていました。
「あ、先輩方こんにちは~聞いてください!今日の華那可愛かったんですよー!顔を赤らめたと思ったら、今度は普通にもどったり」
そんな話を聞いていた陽太先輩が飲んでいたお茶を吹きだしていた。私も項垂れていたが、ガタッ!っと音を立てて愛莉の口を押えに行く
「こら愛莉!それ以上はいけない!!」
「モゴモゴモゴ」
次は栞那先輩が余計なことを言い始めた。
「ねぇ、なんで陽太がお茶吹きだしてるの~?」
今度は豪太が陽太に目配せされて栞那の口を押える。
「栞那先輩、ダメっす!兄ちゃんのとばっちりがこっちにくるっす!」
栞那先輩と愛莉は”なるほど”と言うと何かを含んだ笑みで豪太を連れて「買い物してくるよ」と言いのこし部室を出て行った。
二人きりになった部室に気まずい空気が流れて、長い沈黙。その沈黙を破ったのは陽太先輩だった。
「なあ華那、あの耳と尻尾…可愛かったぞ」
「えっ、あ、その…ありがとうございます…」
また私の顔は赤くなっているだろう。多分恋なのだろうが今はまだ決断を出したくなかった。
「華那、お前好きなやつっているのか?」
唐突にそんなことを言われビックリした。
「まだ、分かりません。」
「そうか…」
陽太先輩は少し落ち込んだかと思うと今度は立ち直ったりしていた。
先輩はなぜあの質問をしたのだろう?悶々とする種がまた1つ華那のなかに増えてしまった。
【次回予告】
期末テストの勉強会!そして少し進展する誰かさんと誰かさんの仲




