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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
湊が帰った後。
雫は胸を押さえていた。
苦しい。
湊を傷つけた。
でも。
玲を失う未来の方が怖かった。
「最低だな、私」
小さく呟く。
玲は静かに首を振る。
「感情に正しいも間違いもない」
「でも……」
玲は少し迷ってから言った。
「湊は、お前のこと本当に大事にしてる」
その声は優しかった。
だからこそ、余計に苦しくなる。
その時。
時雨堂全体が小さく揺れた。
本棚の奥から、誰かの泣き声が聞こえる。
『……お兄ちゃん』
透が顔を上げる。
「っ……!」
その声。
妹だった。
透はすぐ深層書庫へ駆け出す。
雫たちも後を追った。
そこには、一冊の本が落ちていた。
『神代美優』
透の妹の名前。
本のページが、真っ黒に染まり始めていた。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




