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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
深夜。
時雨堂の屋上。
雫は一人、夜空を見上げていた。
星が綺麗だった。
でも。
少しずつ景色の輪郭が曖昧になっている。
まるで世界から、自分だけ切り離されていくみたいだった。
「ここにいたか」
玲が静かに隣へ座る。
しばらく沈黙。
風だけが吹いている。
やがて玲が口を開いた。
「怖いか」
雫は少し考えた。
「……うん」
正直だった。
消えるかもしれない。
人じゃなくなるかもしれない。
怖くないわけがない。
玲は夜空を見上げたまま呟く。
「俺も怖かった」
「玲も?」
「ああ」
玲は小さく笑う。
「最初に存在を削られた時、自分が何者か分からなくなった」
雫は黙って聞いていた。
玲は続ける。
「でも、時雨堂に来てから少しだけ救われた」
そして。
「お前に会って、もっと救われた」
雫の心臓が強く鳴った。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




