プロローグ
この世界には魔族というものが存在している。他の人々から言わせれば、異物。人類の敵。
魔族の中でも特に上位の存在は人智を超えた力を持っている。例えばそう、小さな傷であれば瞬く間に塞ぎ込み、心臓を潰さない限りは何度でも蘇る、異常な再生力。
一般人であれば瞬く間に惨殺することができ、あっという間に世界を終わらすことができる異次元とも呼べる破壊力。そんな上位の魔族を『魔人』と言う。理由は決まって上位種は人の形をしているからだ。
そんな下級魔族や魔人共を従えて、生きとし生ける人間全ての驚異となっている存在、それこそが魔王なのである。
今まで魔王と出会って生きて帰った人間は誰一人としていないと、そう言われている。だが人類とて馬鹿ではなく、対抗しうる手段を得た。それが、勇者である。
神が祝福したと言われている聖剣。その聖剣の光は魔族に毒となり、魔王を討つことが可能。そしてその聖剣に選ばれた、勇敢なる者こそ勇者なのである。
と、伝記には記されていた。嘘である。魔王には勇者の力を持ってしても対抗は出来なかった。何故かと言うと勇者も今年でもう百二十代目。過去に百十九人も殺されている。
この話を聞くと、気になってくると思う。魔王はどんな残忍な性格をしているのか。どれほど冷徹なのか。勇者を除いても過去何百何千人も殺してきた魔族を従える者だ。きっと近づくだけでも殺されてしまうくらい無慈悲なことに違いは──
「んふふ~。ルー君ほら、あーんですよ、あーん♡」
「あ、あの、えっと? 」
「あーん」
「……あーん」
「はいよくできました! ふふ、私今回頑張ったんです! どうですか? 美味しいですか? 私だけを見ていてくれますか? これで私のモノになってくれますか? 私の料理以外何もいらないですか? 」
あった。残忍? 冷徹? 無慈悲? 否ッ!! めっっちゃくちゃに重たい!! そう、それは超がつくほどのヤンデレだったのだ!!




