表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

9

「私の首元の神の紋が気になりますか?」

「えっ、はい…」

「代々王家に伝わる紋で、黒いせいでよく目立つ。隠す気なんてないですけどね。貴女の右手も、素敵だと私は思います」

「ありがとう…ございます、」


他人にこの手を褒められたのは初めてだ。

きっと皮肉などではない。

彼の本心からだ。

それが、なんだか嬉しくて、あのグズのことなんて忘れかけたぐらいだ。


「タラシですか?」

「初の会話でそれはないよアルフリーヒ。あと私には婚約者がいる」

「ならよかった」

「バレリアン家の家族愛は噂以上だね」

「ははは、殿下、他の方にも挨拶しないといけないのでは?」

「そうだね。じゃあ、ここで失礼するよ」


アル兄様、私別にその人にキュンと来てないです。

ざ王子っぷりにびっくりしただけで。

にしても、今回は人が多い。

第1王子が来ており、安全だから多いんだろうけど。

遠征を嫌がる貴族は多い。

ほんと、この貴族社会が腐ってないのは聖人殿下がいるおかげか?


「あ、ブラフベッド」

「げ、見つかった」

「逃げることはないじゃないか。君も陸だろ?お願いがあって」

「一緒にアンジェを守ればいいんだろ。他の貴族はアンジェの右手を怖がってて何するかわからないし」

「正解。私は魔物から守る。君は人から守ってくれ」

「え、そこボクの立場じゃ?」

「お父様、前も言いましたが我が家の主でしょう。仕事量が違います」


しょぼくれる可哀想な父に苦笑いを向けてやる。

私の研究は助けがあってこそだと言うのを忘れちゃいけないな。

本当に恵まれた環境だ。

ちらほらと聞こえてくる、私の右手に対する言葉。


「またいるのか」

「呪われないか心配だ」

「邪魔なだけなのに」

「あいつも魔物だったりして」

「魔法の研究なんかどうにもならないのに」


こんな言葉は聞き慣れた。

いつもこういう時、フェル兄様が私と手を繋いでくれているおかげか、家族が私の前と後ろにいるおかげか。

なんと言われようと、私は神と約束した通り、世界を発展させる。

そして、この世界で神になって、あいつらを、ざまぁしてやる。

いいじゃん、私の御伽噺はざまぁで決まりだ。


「よろしくね、アンジェ」

「はい、義兄様」

「うん。いい子だ」


軽く頭を撫でられる。

うちの姉様は、本当にいい人と結ばれたんだなと幸せに思う。

寂しいけど。

さっき逃げようとしてたけど。



遠征当日。

海は綺麗で、太陽の光をキラキラと反射している。

そして昨日食べたご飯(海鮮)は美味かった!

フェル兄様はすでに船に乗っている。

そして船は、砂浜から大体500メートルくらいしか離れていない。

でも、そこではもう魔物と戦っていた。

船の大きさが確か30メートル程で、それと大きさが同じかそれ以上⋯


「アンジェ、来たぞ」

「えっ、もう?」

「ああ。早いな。絶対に離れるなよ」

「うん」


陸地に上がってくる魔物は、大体肺呼吸もできるらしい。

ていうか、魔物という存在自体が不思議な生き物だった。

ツノが生えているだけのクマや、おっきな虫、寄生虫の魔物だっている。

全部が全部、進化する上で本当に必要か?と疑問を持つような特徴ばかり。

絶対創造主適当に作ったろ!と言いたい。

今陸地に上がってきたのは、亀や細長い魚。

ウツボとはまた違うけど、小さめだ。

船組は大きな、、あれはイカ?と金魚みたいに赤い魚と戦っている。

あっちの方が苦戦するっていうのに、危険度が高いせいで人は少ない。

その代わり、王子が乗っているけど、いくら加護を持っているからって、やっぱり危険すぎる。


「兄様、船ひっくり返ったりしない…よね?」

「わからない。けど、あそこにいるのは泳げる人ばかりだ。ただ、水中で剣は振るえない。落ちたら終わりだ」


なんか、前世でどっかの絵で見たんだけど、なんかの生き物、イカか、タコが船をひっくり返すやつ…

そうだ、クラーケン!

実際のやつはもっと大きいんだろうけど。

イカでもタコでも、吸盤がある。

それにあの巨大、簡単に船なんてひっくり返る。

やばい、やばいやばいやばい、

死んだりしないよね。

例え魔法でどうにかしようと考えても、あんなに離れていては絶対に届かない。

まず、今の段階で生成と防御魔法もどきしか出来ないんだから!


「第1王子を信じろ。アンジェ、鱗の強い魚がそろそろ来るぞ」

「う、うん…」


最悪なことは考えるな。

相手は人間じゃない、魔物だ。

知能なんてものはない。

だから、事故がなければ大丈夫。

絶対に、大丈夫だ。


陸に上がってきた魚は確かに鱗があった。

その鱗は分厚く、剣がなかなか通らない。

その波は、他の波と少し違った。

激しいのに、固い。

なんて言ったらいいのか、どう表現したらいいのかわからない。

けど、激しく動いているのに、固くて、いや、柔軟?

あの鱗は、反射神経が動いているのかと思うほどに、剣が当たると同時に瞬時にそこだけ固くなる。

これはきっと、人間には真似できない。

人間には鱗がないから。

じゃあどうすると鱗のように守ることができるのか。

攻撃を予測しなければ、あんな風には出来ない。

反射的に防御魔法が使えるのは、防御魔法に慣れてからじゃないと。

波を止めるということは出来ない。

固まる、え、片栗粉的な?


あ、片栗粉

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ