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喧嘩ばかりの兄 臆病者の妹


 小学校に上がったとき、私たちは別々のクラスになった。

 別々の友達が出来て、一緒に過ごす時間が減っていった。

 それに比例するように、ひかりは喧嘩をするようになった。

 

 ひかりは、先生に怒られる度に、こういった。

 「僕は悪くない。僕は約束したんだ」と。


 どんな理由があったとしても、喧嘩をしたという事実は確かにある。

 その事実は、回りまわって、私のもとに牙をむいた。


「お前、犯罪者の家族だ!」


 喧嘩ばかりのひかりを、みんなは犯罪者といった。

 私は、性格上あまり強く言い返すことはできなかった。

 でも、ひかりがそう言われることに、強い怒りを覚えた。


 そんな中、3年に上がるとき、クラス替えがあった。

 クラスが変わってからは、いじめられることも減り、ひかりには、響くんという親友ができた。


 響くんは、一体どんな人なんだろう。今まで喧嘩ばかりだった、ひかりは喧嘩をほとんどしなくなった。

 それでも、月に一度ほど、ひかりは喧嘩をしていたのだが。


 先生たちも、ひかりと、響くんの関係を知り、それ以降、クラス替えは、必ずひかりと響君は同じクラスになっていた。


 そうして、その後は大きな問題もなく小学校を卒業した。



 中学に上がった時、ひかりが、警察を巻き込んだ大きな喧嘩をしてしまった。

 その中には、当時私が付き合っていた、彼氏がいた。


 中学二年に上がるとき、中学で知り合った、男に告白された。

 別に好きではなかったけれど、性格上断ることもできず、恋人の関係になってしまった。

 

 ただ、それが良くなかった。

 彼は、私の事を、愛していなかった。ただ、性の捌け口としてみていたのだ。私が断ることが苦手と知って、私に近づいたのだ。


 ひかりは、私が迫られていた事を知っていた。

 ひかりは、私のために本気で怒ってくれた。

 彼を殴り、彼は入院。しかし、その後彼が学校に来ることは無かった。


 嬉しかった。私のことを見てくれる人がいることを知れたから……。

 でも、それと同時に心臓が張り詰めそうなくらい、辛かった。


 私のために、ひかりは、人を傷つけている。

 私のために、ひかりは、人生の選択を狭めてしまっている。

 私の心には、迫られた恐怖と、ひかりへの罪悪感から、大きなトラウマが埋め込まれた。


 ひかりは、私のために怒ってくれる。

 でも、私は、ひかりのために、何ができる?


 私は、自分を変える努力をした。

 メイクも勉強して、髪型も整えて、ファッションも勉強して……。

 性格も変えようと、努力した。

 でも、容姿と違って、生まれつきの性格は、そう簡単に変わることは無かった。


 そのたびに、ひかりに迷惑をかけて、心臓が張り裂け避けそうになった。


 それでも、徐々に性格も変わっていった。

 嫌なことは、嫌と言えるようになった。

 自分の言いたいことを我慢せずに言えるようになった。


 でも、それでも、まだ、男に迫られると、時々、トラウマを思い出し、動けなくなっていた。

 そのたびに、ひかりが助けてくれた。

 

 ある日の学校からの帰り道、ひかりとともに歩いていた。


「ひかり、いつもありがとう」


「……ん」


 ひかりは、口数が少なく、何を考えているか、よくわからない。

 でも、なんとなく、どんな人間かは知っている。

 私たちは双子だから、きっと根本的なところは同じなんだ。


「ねぇ、いつも私を助けてくれてありがとう。でも、もう大丈夫だよ。私のことは私で何とかしたいの」


「……どうにもならないなら、頼っていいからな」


 そう言って、ひかりは私の少し先を歩く。

 きっと、感謝されて恥ずかしいのだろう。


 それ以降、ひかりは、私が助けてというまで、手を出さないようになった。喧嘩も今まで以上に起こさないようになった。


 でも、それは突然訪れた。

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