イメチェン少女と不安定少年
文化祭が始まる1時間前。
いつも通りの時間に登校して、スマホをいじる。
俺の周りには、香織さんたちや響、間宮。それに、奏斗まで……。
こうやって考えると、このクラスでよかったと思える。
「なぁ、お前今日やっぱゆうなさんと回るの?」
「まぁ、そうだろうな」
「……楽しめよ」
今日の奏斗はどこかおかしい。
なんか、やけに優しいし、いつもの敵対心的なのが感じられない。
別に、ない方が俺的にはありがたいが気持ち悪い。
「じゃあさ、奏斗君と響君。一緒に回んない?私たち5人で」
「いいね楽しそう」
「……うん。俺も一緒に回りたい」
怜さんがそう、提案した。
ちょっとそっちも楽しそうだな、とは思ったけど店番の時間的に、俺と怜さんたちは入れ違いになるからできないんだよな……。
「みんな、おはよ」
クラスTシャツと体操着で、昨日まで黒かった髪を茶髪に変えて、髪をクルンとまいて、明らかに昨日とは同一人物とは、思えなかった。
もちろん、ゆうなのその変化にクラスメイトは視線を釘付けにされている。
「……髪染めたんだ」
一番に口を開いたのは、奏斗。
昨日、二人は何をしたんだろう。
疑問はあるが、あまりそれについて聞くべきではないだろう。そう、心が告げている。
「うん。心機一転!ゆうなバージョン2だよ!」
ゆうなは、そう明るく返すが、奏斗の表情はどこか暗い。
「おはよ、ひかり」
「あ、うん。おはよ?」
心のどこかがモヤモヤする。
理由は分からない。このモヤモヤの正体もわからない。
「どう?この髪」
「……うん。綺麗だよ。すごく……」
そのチョコレートのようなきれいな艶のある髪が靡く。さらさらと糸のように細く柔らかい髪は窓の外から差し込む光に反射して、キラキラと輝いている。
その時、奏斗が静かに教室から出ていった。
俺は、その後ろ姿に胸が刺されたような衝撃に襲われた。嫌いなはずなのに、なぜか気になってしまう。
「……俺が行くよ」
静かに、俺にだけ聞こえるように響はそう呟いた。
「ちょっとトイレ~」
「行ってら~」
この中で、唯一響が気が付いていた。
俺達を取り囲む、不穏な空気の正体を……。




