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どう?可愛いでしょ

青い空、雲の隙間からからさす陽の光、草花を揺らす風の音。

今日は橘とのデート!昨日から準備をして髪型もしっかり決めて、服もかわいいお気に入りのやつを着て。


よし、行こう。


家を出て、駅に向かいながら橘にLINEをする。


Akayuna『おはよ』


直ぐに既読がつき、おはよと返信が来る。

毎回思うけど橘既読つくの早いよな。


木の人『先に向こうの駅にいるわ』


私と橘は家が全然方面が違って今日は橘の家の近くのショッピングモールで遊ぶ予定だ。


いつも乗る学校方面の電車に乗ってあとは目的地に着くのを待つだけだ。


*****


10時30分。俺は家から3駅先の新津駅に来ていた。

今日はゆうなと2人で新津で遊ぶ予定だ。


ここならゆうなもそんなにお金もかからないから楽しめるだろう。ただここは正直高校生が遊ぶには少し遊べる場所が少なかったり駅から遠いというデメリットがある。


しかし!今日の目的はゆうなと沢山話すことだと昨日ひなのに言われたんだ遊ぶことが目的じゃない!

ひなのに出された課題『5回は自分から会話のネタを出す』を達成しないとゆうなと付き合うなんてもってのほかだと言われてしまった。


今日の集合は11時から、予定としては昼食を近くのファミレスで取ったあと買い物に行く予定だ。

予定通りに行くなら昼食中に1回は会話ができるだろう。


そんなことを考えてると1本の電車が止まり、中から白いワンピースに身を包んだゆうなが出てきた。


「おまたせ、橘」


一瞬俺の世界が止まったような感覚に襲われた。

電車から出てきたゆうなにひきたてるかのように吹いたそよ風はスカートとその髪を揺らし、宝石のような綺麗な瞳は俺の方をじっと刺している。


「どう可愛いでしょ」


そう言いながらゆうなはこちらは近付いてくる。

可愛い、ただ、言葉が出ない。


初めて見るゆうなの私服に心臓が高鳴っているのを感じる。風に乗って香る香水が鼻を刺し、緊張が高まっていく。


「可愛いよ、すごく、、」


この調子で1日なんて乗り切れるのかな


*****


駅から出てすぐ、私たちは少し離れたファミレスでお昼ご飯を食べていた。


私はパスタを、橘はピザを頼みサイドメニューをいくつか頼んでいた。


「ゆうな、これ食う?」


8等分されたピザを皿に取り分け、サイドメニューもいくつか乗せてある。

ピザに乗っているモッツァレラチーズのいい匂いが鼻をくすぐり食欲を唆る。


「じゃあ私のパスタもあげるから交換ね」


期間限定の柚子のパスタをフォークに巻き付けて橘に差し出す。

橘は顔を赤らめ少し恥ずかしそうにしながらもパスタに口をつけた。


私も橘が取り分けてくれたピザを口に入れる。


瞬間口の中でバジルソースとチーズの香りが巡っていく。

生地もモチモチしていて食べてて気持ちがいい。

サラミの塩味やトマトの酸味などが全てを包み込むかのように感じる。


美味しい。


それが私が思った素直な感想だった。


「美味しいじゃんこのピザ」


いつもより少し声色を落とし、落ち着きを感じさせる声で橘と会話を交わす。


良かった。と笑う橘はとても嬉しそうに私を見ていた。




昼食を終え、店を出たあと私たちは店の近くにある服屋で一緒に服を見ていた。


正直私は可愛いらしい服よりメンズ系の服が好きだし、

ほんとはいつもの服で会いたかったけど、橘がもしかわいい服とかが好きだったらって思ったらこんなワンピース着ちゃって、私服はかわいい見たいなイメージ持たれてるかもしれないから、可愛い服を中心に見ていた。


「あっ、この服かわいい〜私に似合うと思う?」


橘は私と服を真剣に何度も見比べだんだん難しそうな顔をする。


その顔は私の心を不安の中にどんどん落としていき、笑顔がだんだん崩れていく。


「可愛いとは思うけどさ、俺はこっちの方が似合うかなーって思っちゃった。」


そう言って突き出した服は私が見せた服とは真逆の黒いシンプルな服だった。


「どうしてそー思ったの?」


純粋に気になって聞いてみた。

橘は顔を赤らめそっぽを向いた。

ボソボソと何を言ってるか上手く聞き取れないけど、

その表情を見たら少し安心してしまった。


「じゃあこれ試着してみていい?」


普段は試着なんてしないし、男の子の前で試着なんて仕切りがあったとしても恥ずかしくてできない。

だけど橘の好みに合わせたいし?別に仕切り1枚のこの空間に興奮とかしてませんし?


そんな思考が頭の中でぐるぐるの巡り、笑顔の貼られた顔は赤い熱が現れふわふわとした感覚になっていく。


ふーっと深く息を吸い冷静さを取り戻した後淡々と着替え始める。


スカートとシャツを丁寧に脱ぎ、黒いレースの下着が顕になる。なにかあった時のために大人びたものをつけてきたが、いつもとは違うものというものが恥ずかしさを与え、仕切りの向こうにいる橘のことを深く認識する。



試着を終え、私と橘を遮る1枚の仕切りを退かす。

そこにいる橘はさっきとは真逆の黒に包まれた私を見て固まっている。


「なんか、言ってよ、、恥ずかしいじゃん、」


橘は魚のようにパクパクと動かすだけで声を出せていない。その表情はとても弱く脆い笑顔と驚く顔でなんとなく橘の言いたいことがわかってしまう。


「可愛いと思う、、ほんとに」


その言葉を聞いた瞬間顔が爆発したみたいに熱くなって赤くなってしまった。


もう、そんなこと言われてこれ以上好きになったらどうするの、、





「可愛いと思う、、ほんとに」


本心で言ったけど我ながら死ぬほど恥ずかしい

女子に正面から可愛いなんて言ったことないし、相手はゆうなだし、穴があるなら入りたいとはこのことだろうな。


可愛いと言われたゆうなは顔を真っ赤にしてその容姿からは想像もできない甘い顔を腕で覆い隠す。


お互い顔を見合い、顔を逸らしを数回繰り返した後ゆうながこれ買ってくるね!と試着室に戻る。


数分後、試着室から出たゆうなは服を腕にかけレジへと向かう。

その隣にスタスタと歩き入る。

お互い恥ずかしくて顔も見れないけどさっきより距離は近づいたかな。


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― 新着の感想 ―
初々しいねぇ…。 ……こういうのも逆に良いかもしれない。
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