放課後、クレープを喰らう
「ひかり! あそこ! クレープある‼」
学校終わりの放課後
夕日に照らされる信濃川
新潟駅からしばらく、万代を超えた先にある万代ハジマリヒロバ。
ここで開かれているイベントに、文化祭の動画撮影のために来てみた。
……そのはずなのに、動画のことを忘れ、楽しむ女子たち。
その後ろを歩く、響はその手にカメラを持っている。
「ひかり~。クレープ食べたい!」
「へいへい。何が欲しいの?」
ゆうなは、う~んと、足元のメニューの書かれた看板を見るためにその場にしゃがみ込む。
第二ボタンまで外した、緩い胸元からは、黒いレースの布が見えていた。
「風強くなってきたし、これでも着とけ」
俺は抱えていた学校指定の紺のハーフジップのジャージをゆうなに投げた。
二人の時なら構わないが、今は響含めほかの男もいるんだ。絶対にほかのやつらには見せてはならない。
「ありがとね、変態さん」
「うっせ……」
今日は金曜日、明日休みだしせっかくなら泊まりに来なよ。
今日の朝、ゆうなにそう言われた。
そのせいで、今日一日中、集中はできないし、ドキドキしっぱなしなんだ。
それなのに、ここでまたドキドキさせやがって……。
「決めた!このイチゴチョコにする!」
「おけ~、みんなも俺が買うから食べたいのあったら言っていいよ」
「え、いいの?」「太っ腹~」
「彼女の前でかっこいいとこ見せたいもんね」
「そーいうのは言わないものだよ?香織さん」
同じ動画チームの香織さん。体育祭でゆうなが仲良くなったことをきっかけに俺達と一緒に弁当を食べるほどの中になった。
今日、ここに来たいといったのも香織さんの案だ。
「響、お前はなんもいらんの?」
「俺は、自分で買うよ」
それにしても、香織さんもゆうなも、さっきスタバのドリンク飲んでいたのにここでクレープも食べるなんて、どんだけ甘いのすきなんだか。
「ねぇ!みんなで写真撮ろうよ!」
ゆうなは鞄から、シックな黒いスマホケースに装飾されたスマホを取り出して、スマホを空に掲げる。
カシャっと、響良い音が周囲に響く。
スマホの画面には、この場にいる8人の笑顔が映し出された。
ゆうなの口元にはクレープのホイップが……。
「まだ、夜まで遅いし、ゲームセンターで遊んでいかない?そのあと駅のごはん食べよ!」
声を上げたのは、クラスメイトの怜央。
今年から、同じクラスになったのはいいが、趣味があまり合わず、話したことはなかった。
「いいね!ゲーセン行こ!」
ゆうな、香織を先頭に、俺達はゲームセンターに向かった。