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濡れた体操着っていいよね

「それでは、最終種目。選抜リレーをはじめます!」


今日の体育祭のこれで終わり。

朝から薄暗い灰色の雲に覆われていたが何とか中止にならず最後まで終わりそうだ。


「それでは、選手入場です。」


その声を合図に先輩たちが歩き出し私たちも後に続く。


「珍しく楽しそうじゃん」


「だって、私たちの手に優勝が懸かっているんだよ?楽しみに決まってる」


「それは同感」


私の横を歩くのは、香織と怜。

同じ陸上部で、ずっと仲良くしてくれる二人だ。


「まずは現在一位。赤軍です!」


午前、午後ともにどの種目も上位で勝ち続け、2位とはかなりの点差がある。

おかげで、緊張も少なく走ることができる。ありがたい話だ。


「つづいて、現在2位。緑軍!1位をとることはできるのか!」


そうして次々に選手がグラウンド中央に集まっていく。


「それでは、選手が全員そろったところで、毎年恒例。特別ルールの説明を生徒会、お願いします」


私たちの前に来たのは、同じクラスで生徒会副会長の橘ひかり。


「今年は、我々赤軍の圧勝で終わるのを防ぐため、1位の軍は現在の得点を2倍にします!そして、2位以降は1.5倍、1倍、1/2倍とさせていただきます!」


「と、いうことは黄軍も青軍も一位を取れば優勝できると!?」


「まあ、赤軍がいるのでそれはほぼ不可能ですけど一応可能です」


「なるほど、最後の最後まで優勝はどの軍かわからなくなったところで始めましょう!」


橘が下がり、今度は走者の一年生が前に出る。

いつの間にか、彩度を落とした真っ黒な雲からぽつぽつと降り出した雨の中。リレーが始まった。



一人、また一人と自身の仕事を終え私たちのもとに戻ってくる。

状況は一言でいえば最悪。

現在私たちは三位のチームと15mほどの差をつけられぶっちぎりの最下位。


ほかの軍は最初のメンバーに力を入れており逃げ切ろうとしている。

こちらはまだ、陸上部の私たちに三年生の先輩たちもいるがさすがに一位までというのはなかなか難しい。


ゴロゴロ


その音は唐突に、空気を切り裂き鳴り響いた。

空はここ数分でさらに悪化し雨もだんだんと強くなっている。


「選手の皆さんいったん止まってください。」


その時、体育の先生が私たちを制止した。

つまり、それは競技の中止。


「これって、どうなるの?」


「わからないけど、これじゃ走ってたみんなが報われなくない?」


周りからは疑問の声があがっている。

そりゃそうだ。


「ひとまず、保護者の方々は教員の指示に従って体育館へ移動してください。」


「次に生徒たちは教室にもどってください。この後のことは後程連絡します。」


そうして、私たちの体育祭は一時的に幕を閉じた

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