雨の日の放課後
体育祭 前日。
「雨すごくね」
「夜には止むとは言ってたけどこの感じだと延期になるかもしれないね」
俺は響と窓の外を見ながら雑談をしていた。
今、空は真っ暗な重い雨雲に包まれてる。
明日俺たちが駆け回る予定のグラウンドは大きな音を立て雨によって形を崩されている。
「実際今日も前日準備のはずだったのに急遽授業になったしな」
「でもその授業も大半は体育祭練習になったし良かったんじゃない?」
授業時間も終わり、部活に所属していない人達がまばらに外を走っている。
やっぱ、みんな傘持ってないんだな
「ひかりはこの後部活?」
「まぁな、本当は体育祭だって休んで練習!って言いたいレベルだよ」
体育祭が終わってすぐ、俺とひなのは卓球の大会が控えている。だから今日も練習だ。
「はは、それでも体育祭は楽しみだろ?」
「そりゃな、今年こそひなのに勝たないとな」
偶然か必然か、俺は小学校から今に至るまでひなのに行事ごとで勝ったことがない。
今年こそは勝つ。そう言って練習するのが俺としてはすごい楽しいし、終わったあとの達成感も半端ない。毎回負けるけど、
「ねぇ、ひかり。私今日予定あって学校に残るから一緒に帰ろ」
「おっ、ゆうなちゃん。」
「響くんも一緒に帰る?」
「あー、それもいいな」
「じゃあせっかくだし、ひなのちゃんも連れて4人で帰ろうよ」
「さんせーい!」
「でもお前俺らが部活行ってる間何すんの」
何気話が進んだが、響は部活に所属していないから俺たちを待つとなったら3時間ぐらい暇になるだろう。
「図書館で本でも読んでるかスマホでもいじってるよ」
「ならいいんだけどよ」
「まぁ、僕のことは気にしないで練習行ってきなよ。ゆうなちゃんの後ろに可愛い小鬼ちゃんがいるよ」
「「可愛い小鬼?」」
響がちょんちょんと指をさしたその先にいたのは鬼の形相のひなの。
「クソ兄貴ィ、練習時間過ぎてんだよ。準備サボってないでさっさと来い。」
「ひっ!お兄ちゃんちょっと腹痛が、、」
「待て!オラァ!」
悪魔のようなひなのから俺は逃げるように教室から飛び出した。
そして、教室から響達が呆れたような笑い声が聞こえてきた。
「行っちゃった。」
「ごめんね、なんか二人の時間にお邪魔しちゃって」
「ううん。響くんがそんなに気にすることじゃないよ」
「そう?ならいいんだ」
「ところでさ、相談ってなに?」
ゆうなの用事は響になにか相談したいということだったらしい。
ただ、俺にはその相談内容も、どんな訳があるのかも全く分からなかった。