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水族館って微妙に遠いところにあるよね

波打つ海に燦々と照りつける輝く太陽!

波音に、海の家の接客の声!

潮と海の家の美味しそうな食べ物の香り!


「「海に着いたーー!」」


俺たちは同時に叫んでしまった。

少しはしゃぎすぎたなと恥ずかしさを感じつつ、

非日常の景色に興奮を隠しきれない。


「まずはやっぱり、お昼だよね!」


ゆうなも同じ気持ちらしく、いつもなら見せないような緩んだ顔をしている。


俺たちはそんな緩んだ顔のまま、海の家に向かった。

今日の目的のひとつである、海の家『さざなみ』

ここでは、オリジナルドリンクの『ベリーベリージュース』と、日本海で取れた魚を使ったハンバーガーがインスタに上がっていたのだが、

それがとてつもなくバズり、一躍大人気店となった。


「おっ、ひかり!よく来たな!」


海の家に着いたら俺が昔からお世話になっている親戚の白石悠希さんが出迎えてくれた

ずっと日差しの強い外にいるのに、白人を思わせる白い肌に

肩まで伸びた青のインナーの入ったウルフヘア。

首元には極楽浄土をイメージして入れたと言っていたタトゥーが入れられている。


ちなみにタトゥーと言っても、タトゥーシールでこの仕事の期間だけだという。


「悠希くんは、今日も仕事大変そうだね」


「まったくよ、こちとら休憩もまともに取れないぐらい忙しくてよ、明日からはバイトの子が入ってくれるらしいから多少は良くなるだろうけどそれでも厳しいよな」


悠希くんはポリポリと頭をかいて顔をすこし強ばらせていたが、それでもどこか楽しそうにしていた。


「ところで、お前らの分もう用意できてるが、食べるか?」


「たべたい!!」


俺より先にゆうなが声を上げた。

ゆうなはここを悠希くんがやっていることを知ると行きたい!なんて言っていたから、相当楽しみだったことがわかるが、ゆうなは食べ物のことになるとまるで獣のようだ。


「おっけ!じゃあ適当に座って待っててくれよ、すぐ作るわ」


そう言って悠希くんは店の奥に入って行った。


「楽しみだねハンバーガー」


「そうだねぇ、とは言いつつも昨日ゆうなのわがままでマック食ったけどな」


笑う俺の足を軽く小突くゆうな。

全く痛くは無いが1発、脛の急所に当たった。


「いたっ」


痛くは無い。だが、反射的に声が出てしまった。


「ごめん!ちょっと強すぎた?大丈夫?」


ゆうなはあわあわと顔をしかめている。


「大丈夫だよ、反射的に声に出ただけだから」


「そっか、ならいっか」


「それでいいんかよ」


いいの!とニコッと笑うゆうな。

いつもは綺麗とか美しい。なんて言葉が似合う人だか、たまに見せるかわいい!っていうか瞬間が本当にかわいい。


正直、ゆうなを独り占めしたいなんて思ってしまうがこれは仕方のないことだろう。


「お待たせ!ハンバーガーとドリンクセット!」


ドンッ!と目の前に置かれたハンバーガーは写真で見たより大きく数段にも積まれたパティにトロリと溶け出したチーズ。

シャキシャキのレタスも良い彩となっていて食欲をそそる。

付け合せにあるポテトも大きく皮付きで俺が好きなタイプのポテトだ。


「「いただきます!」」


少し前までは外食の時にいただきますなんて言うことなかったんだけどな、ゆうながやってるの見て俺もいつの間にか癖が着いていた。


「じゃあ、食べる前に写真撮ろ!」


ゆうなはスマホを取り出してふたつのバーガーとドリンクを綺麗に写真を撮る。

ゆうな曰く、写真撮る乗ってあんまりマナー良くないからやりたくないけど、ひかりとの思い出を残さないのは嫌だから。らしい。


「おっけー!ごめんね今度こそ食べよ!」


そう言うと、バーガーをパクッっと、頬張った。

それとほぼ同時に目を見開き、んん〜と舌鼓を打つ。

可愛い。ただ、可愛い。


「ひかりも食べな!すごい美味しいよ!」


ゆうなに促されるまま、俺もバーガーを頬張る。

口の中に広がったのは、肉の旨みと、マスタードと自家製のソースの味!ソースはかなり濃い味付けだが、バーガー全体的にはバランスが取れていて、すごい美味い。


「ほんとだ!すげぇ美味いね!」


俺とゆうなは次にドリンクに手を伸ばす。

ドリンクは、いちごやラズベリーなどを入れた

飲むジェラートみたいな感じだ。


これは酸味と甘さがちょうど良くて、口直しにちょうどいい。


「じゃあポテトも食べよ?」


「そーだな、じゃあ俺ケチャップとマスタードつけるわ」


「じゃあ、私このオリジナルソースってので食べてみよ」


悠希くん曰く、オリジナルソースはバジルとサワークリームを合わせたものらしい。


「「美味しい!」」


正直に言おう!全部美味い。

ゆうなも同じ感想らしい。


俺たちここに来て何回美味しいって口にしたんだろう。

というか、美味しいとうまい。しか言ってない気すらする。


まぁ、そんな美味いものが目の前にあったら

ペロリと食べてしまうのが俺たちなわけで、

バーガーが出されて5分もしないで、目の前にはからのドリンクカップとバーガーの包み紙がそこに置かれていた。


「「ごちそうさまてした」」


2人で手を合わせて悠希くんと食材に感謝を述べた。


「悠希くん。ご馳走様!美味しかったよ!」


俺は改めて、悠希くんにも伝えておいた。

今日のデートのきっかけを作ってくれたのも悠希くんだし、これじゃ足りないけど、せめてね。


「おうよ!またおいで。ゆうなちゃん、こいつのことよろしくね」


ニコッと笑う悠希くんはどこか嬉しそうに俺達のことを見送ってくれた。


「じゃ、水族館に行こっか」


俺はゆうなの手を取り、水族館へ歩き出した。

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