打ち上げ花火の時人が少ない場所を見つけたら奇跡
8月3日 今日は長岡花火です!
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騒々とした、長岡駅。大きく揺れる人の波。
それを冷静に警備員の人達が捌き、駅から少し離れると人の波は段々となくなって言った。
私は長岡駅から数分のとこにあるコンビニでひかりとひなのちゃんを待っていた。
コンビニで、緑茶とかを買ってゆったりとする。
今私は、着慣れない水色の浴衣に下駄を履いていた。
水色の浴衣は所々ピンクの桜や金魚が織られていた。
帯によって桜と金魚は仕切られており、帯の下は水の中のように見えた。
5分もしないで、ひかりとひなのちゃんがコンビニに来た。
「おまたせ、浴衣似合ってるね可愛いよ。」
「ね!私も思った!でも私も可愛いでしょ」
2人は合流したばかりだと言うのにフルスロットルで褒め倒す。
私は今多分絵の具で染められたって思うほど真っ赤に染まっているだろう。
「恥ずかしいから、その辺にしてもらえると、」
その言葉にハッとするように、顔を見合わせる2人、
やっぱり双子なんだなって思う。
性格的なところもだけど、その顔立ちも2人とも似ている。
「じゃあ、行こうか」
そうして、私たちは公園に向かった。
*
花火打ち上げまであと20分程、俺達は 会場から少し離れた場所にある公園に来ていた。
ここは人が少ないのに、花火も綺麗に見えるから俺達はいつもここで花火を見ていた。
「ゆうなちゃん!見て!さっきお兄ちゃんと一緒に弁当作ってきたの!」
ひなのはゆうなにニコニコと2人で作った弁当を見せる。
本当は俺一人で作ってゆうなに自慢したかったのに、
絶対手伝うってワガママ言うから。
「美味しそうだね!私晩御飯食べてないからお腹すいててさ、食べてもいい?」
この笑顔は反則だろう。
そう思わせる、圧倒的顔面力から放たれる笑顔。
「卵焼き美味しい!」
その笑顔を崩すことなく、ゆうなは卵焼きを箸でふたつに切り分け、口へ運んだ。
いつも思うけど、食べ方が綺麗で上品だ。
それでいて美味しそうに食べる。見ていてとても気持ちいい。
その姿に見とれていると、遠くの方から長岡花火の始まりを告げる声が聞こえた。
「始まるって」
俺達は全員顔を上げて花火を見る。
ドンッ!と一発大きな音と共に夜空に大きな華が咲いた。
それは様々な色で輝き、キラキラと輝きながら、落ちていく。
それを合図にするように次々に花火が打ち上がる。
「すごい綺麗だね」
さっきまでハイテンションだった、ひなのも思わず息をのみ、囁くように呟く。
「そうだなぁ」「そうだねぇ」
俺とゆうなが全く同じタイミングで同じことを言ってしまった。
「2人ともすっごい仲良いよね」
にししっと笑い、俺の肩を軽く叩くひなの。
全く、こいつのこういうところには困っちまうよ。
そうして笑い合う間にも花火はどんどん打ち上がり、
この長岡花火の目玉とも言えるフェニックスが打ち上がった。
「来年も来ようね、大人になってもずっと」
「約束だね」
「来年は花火の他に線香花火とかBBQとかもやりたいよね」
俺達はそう言って、空を見上げる。
本当にこの瞬間が永遠に続いて欲しいと心から思うよ。