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朝の終了

 少し待って欲しい。誰に。

 さっき言い終えたつもりのそれは、口の中を言い切っただけのそれであった。

 良かった。私は無関係であった。彼としてやり残したことなど、彼に聞けばいいだけのことであった。そしてまた、聞かなくてもいい話であった。

 私には視覚というものがあったと、今思い出したのであってもいい。毎回毎回一々鮮明で、それらを皆言わねば気が済まないところのこの鏡の模様が、びっしりと詰まっている。

 朝の脳。私の出番は朝によって全て奪われた。そもそも今は昼であった。さっきまで私という寝相のままに赤の他人のふりをしていた。だから一日は二十四時間などではないのだと、少なくとも一人がそれを言っているのであるから十分である。

 だからといって私がいてしまうところのこの朝にも、私はいない。多分そのとおりで、まだ存在しているものはそこの鏡で全てである。それ以外にはまだ何も聞いていない。私の出番はまだ来ない。いつか来るのかどうか、それはどうであっただろうか。覚えていない。

 ああ、そうそう。鍵穴。鍵穴に私がいる。

 「おはよう。もう目を覚ましても大丈夫。」

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