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夢で空を飛ぶのと同じ仕方で

瞼の努力に電光を見取って

冷房の片隅に追いやられて

ひたすらに密度を減らしている

眉間の乱気流さえ分からなくて

イオンの竜巻さえ見当たらなくて

後ろめたげに切なさを享受している

この身の浸透圧に全て任せる

この身の浸透圧が全て吸い出す

あの夢を


 「時間よ止まれ」が成功してはや……日。というのもおかしな話で、時間が止まれば即ち何も覚えてはいなかったのである。ただ私のカメラは私の目に異なって、届かぬはずの光か、或いは何かを記録していたのであった。

 そのカメラにフィルムは入っていない。少し前に骨董市で見付けたこれに入っていたフィルムを面白がって……現像した。程無くして怪奇現象が続いたならば、怖がっているとは当然である。それでホラーのテンプレートを過剰に疑って、ファインダーをただひたすらに覗き続けているのだと、そういうことにしておこうか。私だってよく分からない。

 実のところそんなことはどうだっていい。元より何も面白いはずなど無かったのであるから。ただ前以て知らされた内容が問題なのである。何に知らされたそれであってもいいが、それであるということが大事である。大事でなくてはならないのである。

 つまりここではないどこかに私がいたとは……本当である。金縛りパニックに陥った可哀想な心臓の騒々しさが時折見せる幻想の、その説得感の焼き直しであり、この正常な昼間における場違いな狂信が、あの場所での、この場所における体験である。

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