こうでなくては
ホーリーにより、杭の壁の一部が破壊されると、いっきに杭が倒れてゆく。
開いたその中には、数軒の小さな家がたち、枯れかかった作物を実らせる、大きな畑があった。
「ずいぶんたくさんの種類を育てているねえ」
「キラ種族には毒になるもんばっかだ」
畑を横目に、その近くの一番大きな家をめざす。
ドア前につけば、ホーリーがいきなりその板をけ破り、ずかずかとはいりこんだ。
小さな家のまんなかにはテーブルと椅子があり、むこうの暖炉ではなにかを勢いよく燃やしている。
その暖炉まえに、炎をみつめるように背を丸めた男がすわりこんでいた。
無言のままその背中を踏みつけようとしたホーリーがどかされ、ジャックが男のそばにかがみこむ。
「あんたが、オナーさん?誰にも会わなかったけど、他のクアットは?」
男の目が、うっすらと開く。
血の気のない顔の筋肉が動かせないように、苦しげに口をひらいた。
「みな、・・・やく、めは、・・・おえた・・・」
「なに?なんの『役目』ですか?」
「こいつ、ハウアーを連れてきた男だ」
ジャックの質問にかぶせるようなホーリーの声に、男が何かに打たれたように、びくりと体を震わせた。
「っな、なん、っで、ほ、ホーリー!?っそ、、――― そんなはずはない!」
そこに立つ金髪の男を認めると、別人のように大声で叫ぶ。
それにホーリーは、ぎゃははは、とのけぞり笑ってみせる。
「ハウアーに持たせた野菜で、おれがぽっくりいくと思ってたのか?おそまつな作戦だな」
「ちがう!おまえは『空の目』たちが消すときいていた。ハウアーの役目はもっと前におわってる」
「『役目』?」
割って入った落ち着いた声に、クアットの男はようやくジャックを確認したようだった。
「ああ、ジャック・パンプキンが戻ってる!そうだ!世界はこうでなくては!キラ種族に支配などされてたまるか!」




