表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/66

空の目


「―― おれの精がほしかったら、せいぜい楽しませろ。そのかわり、おれの気がむいたときしか、おれに触るな」


「わかったわ。餌はじぶんでさがすわよ」

 いつのまにか膝にのった女が目を光らせるようにホーリーをみつめながら顔を寄せた。

 とたんに、ぎゃっ、と小さくさけび、床に転げる。


「―― 触る許可してねえだろ。最小の呪いでもこれぐらいだ。おまえも魔族の一種ならそれぐらいすぐ治るだろうが、しばらくは痛むだろうなあ」

 うめく女を楽しそうに見下ろすと、テーブルに残ったままのワインの瓶をそのまま飲む。


「くそったれキラ種族!あんたらなんか、『空の目』に早く消されちまえ!!」


「バカが。『空の目』は見てるだけで、おれたちに何もできねえ」


 冷たく見下ろす男に、腹をおさえてにらみあげる女の口元がふいに微笑む。


「バカはどっちよ?『空の目』には『力』があるわ。そりゃもう、あんたらキラなんて足元にも及ばないほどのね」


「・・・ぶっ、ぶぶっ、ぶっはっはっは!おい、そりゃいったいどこのホラ話だ?」


「ノーム種族のジャックは、『空の目』と話してた」


「はああ??『話す』?あの、灰色の空に出るでっかい目玉と?どうやってだ?目玉以外は何もないんだぜ?あんなもん、夜にでる『月』といっしょだろ!」


 ぎゃははは、とあおむいて笑うのにこたえる女の声はさめていた。


「ジャックはほかの種族のはなしもよく聞いてくれた。だから、いろんな種族がここに集まってたのよ。それを見てた『目』が、『おまえは話ができそうだ』って、ジャックを《上》に呼んだ」


「『うえ』だあ?」


「ああら?キラ族のホーリー様でも知らないのね。-― この世界には、《厚み》があるのよ。いまここは一つだけれど、『空の目』がいうには、そろそろ世界は縦に分かれるのよ」


「――― くだらねえ、ホラばなしだ」

 この世界を我が物のように思っていたホーリーには、信じられない話だ。


「なら、そう思っていればいいじゃない。『空の目』は、どうやらキラ種族が好きじゃないみたいよ。・・・・・それなのに、あなたはノーム種族のジャックを破裂させちゃった」


「だからどうしたっていうんだ?」


「――― べつに。ただあたしは、ジャックから知りえたことを、次の主であるあなたに伝えてるだけ」


 感情もなくじっと見据えてくるブルーの目に耐えられなくなったように、スネイキーは床をあとずさりテーブルクロスをまくりあげると、中へと消えた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ