魔法の訓練②
午後になり、オリビアと魔法の特訓
とうとう実践的な練習
年甲斐もなく、わくわくした感じ
今までの平坦な人生と違う、波のある人生が動き出すような感じ
オリビアに渡された、木製の杖を持って彼女に向き合う
「じゃ、魔法の練習をするわよ〜
じゃあ、魔法というのはどういう理屈で発動するのか知っている?」
「詠唱を行うことで、体内の魔力と空気中の魔素が使われ、魔法が射出されます」
「うん!ほとんど正解ね
さすがよく本を読んで勉強しているわね
一点、補足するわ
体内の魔力で魔法を起こし、魔素によって増幅させることで、
魔法は形をなすの
魔力が主、魔素は補助ね」
「なるほど では、魔力のみで魔法を発動させることもできるのでしょうか?」
オリビアは人差し指を顎に当てて、考え込む
「まあ、不可能ではないと思うわ
でも、魔素の薄い所では、魔力が霧散して発動できないことがほとんどね〜」
「はい、わかりました」
ふぅむ、結構魔法については調べたつもりじゃったが、意外と奥が深いのぉ
「もう一つ、とても重要なことがあるわ
これはかなりレベルの高い項目だけど、
ノアはかなり才能があるみたいだし、言っておくわ
私たち魔法使いには、体内に魔力回路という道があるの
そこに魔力を流して、その流れを手や指に集めることで魔法が発動するの」
そういいながら、オリビアは詠唱し、魔法を練り始めた
オリビアの手の前に、土の塊ができた後、射出された
土の塊は前に飛んでいき、家の外にある木に当たった
木にはへこみができており、かなりの威力だったことが伺える
「ね、こういう感じよ」
「…なるほど ちょっとやってみますね」
そういって、いつもより体内に意識にを向けて魔法を練る
詠唱を開始し、風球を射出した
先ほどの木に当たったが、傷がつく程度で威力が足りていないようじゃ
「やっぱり、ノアは天才ね~
この年齢で真っ直ぐ魔法が飛ぶだけでもすごいのよ!
それに木に傷がつくくらいには威力があるの素晴らしいわ~」
「ありがとうございます
しかし、魔力回路を意識できていたかといわれると違うような気もしますね」
「そうね~ 捉えられるようになるまでの時間は個人差が大きいのよ
けど、一ついい方法があるわ
ノア、私と手を結びましょう」
オリビアは儂に向かって手を伸ばす
儂はその手をとって、しっかりとつないだ
「これでいいですか?」
「いいわよ~
この状態で、私が魔力回路に魔力を流してみるわ
勘がいい人なら、人の魔力回路の流れを感じ取れるの
それをやってみましょう
では、始めるわね」
オリビアは目をつぶり、魔力を練り始めた
儂も目をつぶり、オリビアの手に集中する
すると、オリビアの手に何かが流れているのを感じた
集中すれば、脈を感じ取れるようなイメージ
おおっ、これが魔力回路か
人間には血管とかリンパ管みたいな全身をめぐる器官がある
それの魔力版のような感じに捉えればいいかもしれんなぁ
「あっ! わかりますね
肌越しに脈が分かるみたいなものですね」
それを聞いたオリビアは驚いた顔をした
「そんな風に捉えることができるのね~
考えたこともなかったわ
さすが、ノアね~」
「そうですか ありがとうございます!」
そういえば、この時代くらいだと脈自体は知っていても血管が
どういう風に張り巡らされているかとか何が流れているかは
わかっていないのじゃろう
医学がそこまで発達していないようじゃし
だからこそ、魔力回路のイメージとは合わないということなのかもしれん
「じゃあ、もう一度魔法を打ってみましょう
さっき自分が得たイメージをもう一度思いだしてみて」
「わかりました!」
儂は魔力回路を捉えようと集中する
魔力を流し、その流れを捉える…
感じる、感じるぞ!
「風の神よ、力なき我にその力の一端をお与えください」
「風球!!」
儂の出した魔法は真っ直ぐ木に向かい、その木は上下真っ二つになった
「…気持ちいい!」
儂は思わず声が出た
「すごいわ!今の威力!
私と同じくらいよ~ 風魔法でこの威力はとんでもないわ
やっぱりノアは天才ね!」
これが魔法か
これがあれば、儂の求める人生が歩めるかもしれんのぅ
この日以降、ノアは基本的に午前は剣術、午後は魔法を練習した
それにプラスして、寝る前には魔力総量を増やすために魔力切れまで魔法を使った
これを繰り返しているうちに、儂は6歳になった