2歳児の日常
時は流れて、儂が生まれ変わって2年が経過した
儂はこの世界ではノア・ベルナールという名前らしい
というか、ここは日本でも地球でもない世界のようじゃ
家から出たことないので、この世界の全貌はよくわからんが、
自分の家についてはよくわかった
家はかなり大きく、洋風の家具や食器がおいてある
前世の家なら間違いなくどこの家にも置いている家電類は見当たらなかった
窓もついており、その窓からは一面の小麦畑が見える
いわゆる中世ヨーロッパ風の世界なのじゃろう
最近、こういった小説やアニメが流行っておると前世の孫も言っておった
魔物がでるとか魔法がどうとかいうやつだ
驚いたことに、この世界はそういった世界のようじゃ
そう、つまり魔法が存在する!
長い人生を歩んできたが、魔法が打てるようになるとは…
最近の漫画やアニメには疎いが、ハリーポッターの映画くらいは
見たことがあるので想像はできる
今まで普通じゃった儂の人生にようやくスパイスがやってきたのじゃ!
これはますます2度目の人生が楽しみじゃ!
「お~、すごい!上手ね~、ノア」
「お絵描き、たのしい」
儂は流ちょうに語り部しているが、今、儂は絶賛お絵描き中。
この世界に来てから、2年ということは儂は今、2歳。
2歳児というのは、何ができるのか
孫の言動を思い返してみると、歩けるが、しゃべるのは二語文のみという感じだった
気がする
儂は生まれ変わりじゃからか、やろうと思えば、すたすた歩けるしスラスラ話せる
しかし、そんなことをすれば、「うちの子は天才!」とか持ち上げられることは必至。
こんな年になって、話しただけでもてはやされるのも逆に気分が悪い
だから、儂は一生懸命、「赤子ぷれい」にいそしんでいるのだ
別にやりたくてやっているのではない
これは仕方のない行為なのじゃ
ばぶー
「おおっ、ノアは絵を描いているのか~
これはパパかな?」
「いや、はは」
「おっそうか、母さんか~、上手だな!」
父親のオリバーが儂に話しかけてくる
パパ・ママ呼びはさすがに気が引けるので、ちち・はは呼びである
「パパも書いてくれよ~、ノア~」
オリバーはそういいながら、儂の頬を触ってくる
自分よりかなり年下の男に好きにされるのは複雑だが、
この男は子煩悩で優しい男じゃ
信頼できる親といえる
「では、私はそろそろ夕飯の準備をしますね」
「おう、オリビア 頼むぞ」
母親のオリビアも非常に優しくやわらかな雰囲気をまとった女性じゃ
容姿も整っていて、体つきも大変すばらしい
が、儂も年を取りすぎて性欲も枯れてしまった
儂が20年早く転生していたら、興奮していたかもしれない
よかった…自分の母親に興奮することはなくて
自分の母親に興奮するなんて普通に嫌じゃし
夕食ができ、家族団欒の時間。
儂は2歳なので、離乳食を食べる
約70年ぶりの離乳食。
正直おいしくはないが、我慢して食べる
つい最近まで、自分の孫にご飯を食べさせていたのに、
今になって食べさせられる側に回るとはな…
でも、これも意外と悪くなんじゃよな
ばぶー
「ノアは好き嫌いせずに何でも食べてえらいわね~」
「このまま、どんどん大きくなれよ~
男は食べて大きくなるんだぞ~」
両親が声をかけながら、ご飯を食べさせてくれる
なかなかいい、人生のスタートが切れたように思う