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異世界やり直し日誌  作者: 塚丸エイト
18/22

ジャイアントタイガー②

剣に風魔法をまとわせた

なんか技名とかあった方がいいかのぉ…

んー、まあ「風神剣」とかでよいか


再び剣を構えて、ジャイアントタイガーと向き合う

今、ドクハの魔法で腹にダメージを負ったので

スキができている

好機じゃ…!


全速力で距離を詰めると、剣を振りかざす

奴はこちらに気付き、爪で受ける構え

そのまま剣を爪にぶつける!


「ギギギギ!」という鈍い音がする

一度、後ろに飛んで距離を取る

剣自体に傷はできておらず、成功といえる


それをスキと捉え、

ジャイアントタイガーは剣を見ている儂に襲い掛かる

剣でひたすら受ける

儂がヘイトを買っている間、ドクハが魔法で攻撃

再びジャイアントタイガーがのけぞる


かなり効いているようで、体から血がぽたぽたと垂れている

これなら、勝てる…!


剣を構える

こちらから攻めるより、儂が盾になり

引き付けるのが得策じゃ


その時、ジャイアントタイガーの様子が変わった

咆哮をあげて、口に火をためている

これはまずい…!


「ノア! 危ない!

 ブレスが来る!」


儂は風魔法を広くして射出

ドクハは水魔法をできるだけ大きくした


「グオオオオオオ!!!」


ジャイアントタイガーの火のブレス

儂は風魔法で自分への攻撃のみ防ぐ

しかし、思った以上の威力で服が燃える


ドクハは水魔法で応戦

なんとか相打ちになり、再び湯気が立ち込める

先ほどよりも威力が高かったためか、かなり濃い

奴を見失う…


儂もドクハもどこから来てもいいように

構えて集中する

湯気が徐々に消えている

しかし、そこにはジャイアントタイガーはいない


「…逃げたのか?」


「逃げたねぇ これは

 奴はかなり慎重で賢い獣だからねぇ」


ドクハはそういいながら腰を下ろす


「いやはや、久々の戦闘でさすがに疲れたねぇ

 ちょっとノア! あたしをおぶりな!!」


結構元気じゃないか…

とはいっても、この戦いの一番の功労者はドクハじゃ

ねぎらってあげないとバチが当たりそうじゃ


「じゃあ、背負いますよ」


ドクハを抱えて歩く


「ジャイアントタイガーはこんなところには

 出没しないんだけどねぇ」


「シスターは戦ったことあったんですか?」


儂はシスターに疑問を投げかける


「まあ、かつては武闘派だったからねぇ…

 奴はかなり強い部類の魔物なんだよ

 あたしが水魔法じゃなかったら、

 今頃あたしたち二人ともお陀仏だねぇ」


「相性ってやつですか…」


「そうだねぇ 基本的には火魔法を操る

 魔物は水魔法に弱い

 どの魔法も得意分野、苦手分野がある」


「そうだったんですね」


ドクハは一息ついてからさらに会話を続ける


「というか、ノア! あんたのあれはどういう

 魔法なんだい? 剣に魔法をまとわせるなんて

 見たことないがねぇ…」


「そうですか? 結構便利でいい魔法ですよ あれ」


ドクハはため息をつく


「なんともあんたは不思議な存在だねぇ

 ああいったことを思いつくのもそうだけど、

 普通はそんな細やかな魔法操作なんてできないよ」


なにやらすごい褒めてくれている

儂には魔法の才能があることは間違いないようじゃ


「ありがとうございます」


そういえば、シロロについて聞きたかったんじゃ

シロロは戦闘にも参加できないほどに、かなり憔悴していた


「あの… シロロはなんであそこまで…」


ドクハは少し黙った

そして、深いため息をした


「シロロはねぇ…

 昔、いじめられたことがあるんだ

 『化け物の子供だ』ってねぇ


 さっき言ったように、シロロの父親はジャイアントタイガー

 かなりの強さの魔物だ

 それがどこかからばれて、子供たちはシロロを怖がり

 排斥した

 

 けれど、彼女は優しい子だった

 いじめられても、やり返すなんてことは

 考えない子だった

 その力がありながらねぇ


 でも、彼女は抱え込む子だった

 『父親が化け物』ということを聞き続ける

 うちに、『自分も化け物なんじゃないか』って

 思ったのかもしれない


 それ以来、シロロは自分からみんなと距離を取った

 だから、同世代の友達はいない」


「そんなことが…」


「今日ジャイアントタイガーを見て、それを思い出したのかも

 しれないねぇ…


 それにしても、あんたが来てくれて本当に良かった

 あんたは同世代なのにシロロと仲良くなれた」


「そうして、私だったんでしょうか?」


ドクハは少し考えこんだ


「そこまではよくわからないねぇ

 それにあたしだってなんであの子に懐かれているのか

 わからないからねぇ…」



ドクハと会話しながら、帰路に就く

そこで座っているシロロとゴダゴダを見つけた

二人とも先ほどに比べ、落ち着いていた


「あんたたち!大丈夫かい?」


「うん」とシロロ

「ああ」とゴダゴダ


「さっきの、あれは…」


「逃げましたよ」


儂がシロロに返答する


「ごめん 私も戦えるのに…」


「別に無理をしてたたく必要はないですよ

 それに、私とシスターで何とかなりますし」


そう言うと、シロロは深刻な顔つきになった


「たぶん、また来ると思う」


「…!なんでそう思うんですか?」


「…勘 でも、絶対あたる」


野生の勘みたいなものか…

たしかにシロロが言うならそうなのかもしれん


「まあ、今日は来ないと思いますし、

 帰りましょう」


「うん」


儂はゴダゴダの方に向く


「ゴダゴダ君も 一緒に帰りましょう」


「…ふん!」


ゴダゴダは相変わらず儂のことが好きではないらしい

まあ、いい 儂を倒すつもりで努力するのじゃ


「餓鬼どもが待ってる 急ぎな ノア!」


ドクハの声で儂らは歩き始め、教会へと帰った




 





 


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