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異世界やり直し日誌  作者: 塚丸エイト
10/22

ケモミミ少女と餓鬼大将

儂が聖書を読み始めてしばらく経った

この世界には時計がないから、不便じゃな

まあ、日時計とか原始的な奴はあるが、数字盤のある時計は

おそらく科学の発展が遅れていて、まだ、存在せんかもしれん


子供たちも徐々に集中力が切れてきて隣同士で会話したりしている

ドクハは一人の少女に勉強を教えている

その子はなんと獣の耳を持っていた


やはり、この世界には人間以外にも言語を話せる種族が

いるようじゃ

魔法があるんじゃから、それくらいいないとおかしい


珍しいのぉと思い、その二人をぼっーとみていると、

ドクハが立ち上がった


「餓鬼どもー いったん少し休憩しな

 アタシが外で煙草を吸い終わるまで、遊んでよし!」


ドクハがそういうと、沢山の子供たちが儂の方に寄って来た


「ねえねえ、ノア君はどこに家あるの~?」

「普段何してるの?」

「なあ、その本なんだよ そんなのもう読めるのか?」


子供たちが一斉に話しかけてくる

本当に元気じゃのぉ

やはり年を取ると、子供の元気な姿を見ると嬉しくなってくる


「僕は、北に30分ほど歩いたところに住んでいるよ

 普段は剣術を練習したり、魔法を練習したりしているね

 文字は両親に教わったんだ この本はトスリキ教の聖書だね」


儂はできるだけ柔らかく話す

子供相手じゃし、堅すぎる敬語は仲良くなりにくいかもしれん


「魔法がうてるの! すごーい!」

「やってみてくれよ!」


さらにどんどんと声を掛けられる

転校初日の転入生の気分

こういうの、結構緊張するんじゃな


さすがにここで魔法を打つのは危ないかと思案していたところ、

一人の男の子が声を出した


「おい! お前! 魔法が打てるのか

 俺様と一緒だな!」


その子はちょっとぽっちゃりした体型の男の子じゃった

雰囲気からやや傲慢な態度が漂っている

先ほど、真剣にドクハの話を聞いていなかった

彼の隣には、二人の男の子

この両者はうって変わって、痩せている


「君も魔法を打てるんですね!

 平民の出でこの年から魔法が使えるのは珍しいと聞いたので、

 いないと思っていましたが、仲間がいて嬉しいです」


儂はあくまでも謙虚な姿勢で挑もうと返答する

なにやら、この子はこの教室の餓鬼大将のようなものなのかもしれん


「新しく来たから、今はちやほやされているかもしれないけど、

 絶対俺様の方が強いからな!覚えておけ!]


「そうですよ!ゴダゴダ君よりつよいやつなんてこの街にはいません!」

「よっ! ゴダゴダ君かっこいい!」


取り巻きの二人がゴダゴダというらしい餓鬼大将をはやし立てる

周りの子供たちも、ゴダゴダの強さは認めているのか、押し黙っている


「まあ、僕なんて少ししか魔法は使えません

 たぶんゴダゴダ君の方が強いですよ」


儂がこれまた謙虚に返答すると、ゴダゴダは興が削がれたのか今までいた場所に戻っていった


ここまで型にはまった餓鬼大将も今時珍しいかもしれんな

まあ、今時も何も世界が違うので何とも言えんが…

小学生くらいの頃は、ああいうふうな言動に憧れるものじゃ

前世では喧嘩が強いやつは調子に乗って、傲慢になった


この世界では、魔法使いが一種のステータスなのじゃろう

特に、平民で魔法が使える者は少ない

調子に乗るのも無理はない


儂は人生2周目じゃから、そんなにうかうかすることはない

どんなに自分がすごいと思っていても自分よりできる奴というのは

必ず存在する

それが喧嘩だろうが、勉強だろうが、魔法だろうが同じじゃ


だから、人と比べるのはほどほどにするのが一番じゃな


そんなことを考えながら、今一度教会を見渡す

すると、先ほどの獣の耳をもった少女が一人で過ごしていた


一人が好きなのか、あまり馴染めていないのか…


ちょっと声をかけてみるかのぉ












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