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「おい、起きろや」


「う……げほっ……」


 ものすごくお腹が痛い。目の前の男に蹴られたようだ。


「なにを……、っ」


 今度は顔面を蹴られて、目の前が白い火花で染まる。


 その後も執拗に暴行を加えられ、身体がボロボロになった。


「ようお兄さん、ところでここで何してた? 荷物は他にあるか?」


 攻撃が収まり一息ついたところで、男はこう聞いてきた。


 もう痛いのは嫌だと思い。反射的に聞かれたことにすべて答える。


 問答の最後に、男はいやらしく笑いながらこう言ってきた。


「奴隷になるか、死ぬか選べ」


 俺に選択肢はなかった。





 それからの日々は地獄だった。ここにはあの男と、その友人らしき数人を頂点とした、グループが形成されている。

 

 そしてグループの下層存在として俺たち――『奴隷』――がいる。


 あの男がやったような手口で、通りがかりの人の物資を奪い、人手として使えそうなら奴隷とする。


 もちろん最後まで『奴隷』となるのを拒む人もいる。が、そういう人は、なぶり殺しにされた。

 

 ひどい場合には、屈服させたいという理由だけで、死なない程度に生かされて、長い期間にわたって、ストレス発散の道具として暴行をされる人もいる。


 その他にも、グループの幹部の1人が「人って餓死する時どうなるんだろうな」「ちょっとやってみようぜ」、という出来心で実験体にされる人もいる。

 

 『奴隷』になってからも、そこまで扱いは変わらないように思う。特に、脱走を企てるような場合は、むごい目にあう。


 それでも、言うことを聞いて、幹部の手足として価値を示しているうちは、暴行はされないようだ。

 

 そして、あの日の夜に出会った小さな女の子も、このグループの幹部だったと、ここで過ごしていくうちに知った。

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