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第6章 夜のカブシキ町

アヤカシを倒した僕は、ゆっくりとタバコと吸いながら、エナジードリンクのカーイブツ・エナジーで喉を潤す。

アヤカシが昇天して、10分もしないうちに街は殆ど元通りに等しい。

幸いにもアヤカシや害獣対策で、建造物は、硬めに作られていた。

僕は戦いが終わってどっと疲れが出たので、キャバクラ店に入った。


「さっきの戦い見たよ!」

僕は指名しなかった。何故なら経済的自由人ではないため、使える金に制限がある。

こうして、フリーで来たキャバ嬢は、ふんわりとミス・オディールの香りを漂わせ、肌は厚めにファンデーションを塗っており、髪は茶髪のハーフアップ。

鼻は高い綺麗な20代前半ぐらいだ。


僕は仕事ができないただの庶務担当、勇者としての肩書きもある。

だが、営業課長や部長等の管理職には敵わない。ただの勇者。

腕力こそ、部長や課長より強いものの、腕力じゃ評価されない世界線に僕はいる。

フィンガースナップで、指の先端に火をつけたり、ライターの先端を剣にできたりするが、僕はただの凡人。


キャバクラは、そんな"凡人"である僕を褒める。おそらくお世辞だろう、怠い。

「すごいね、お客さん。頭も良いし、強いし」ここで、さらに"イケメンだし"と言われればまだ気分が良かったのだろう。

だが聞いてくれ、人生で"イケメン"と言われたことはない。


「僕は…ただのキャンプ好きのインキャだよ。ヨリトモさんのように妖術は扱えないし、本当につまらない男だよ。

彼女もしばらくいないし、家に帰ってタバコ吸ってドクターペッパー飲んでる本当にただの男。趣味はゲームと、読書と映画鑑賞と美術品鑑賞と、論文を読んで様々なことを考察したり、新しい呪文や呪術や知識を得ることだよ。あと、株式投資もやってて、ギャンブルも確率論的にやってるかな。パチンコとかやる時は台のデータを把握し、そして、台の期待値を算出した上で打ってる。けど、一番利益出せるのって、結局、外国為替証拠金取引なんだよね。

まぁ、あとさ」


キャバ嬢は額から汗を流していた。

そりゃそうだ、こんなマシンガントークを客からされるなんて思わないだろ。

もう帰ろう、俺はなんとなく疲れた。

「あ、待って」

「なんだ」

「もう少しだけ遊んで欲しいな…」と彼女の首はニョロニョロと呼びて、可愛らしい上目遣いの顔面が僕の胸元に近づく。

ふんわり香るミス・オディールの香りに僕は興奮した。

彼女の首が下半身に当たる、辛い。…マジで辛い。…副業しなきゃだな。


「そう言えば…君は…」

「妖人…なんだけど…怖いよね?」

「いや、別に」

僕は、少し照れながら、頭をかいた。

「この店の説明少しだけするね」

と、キャバクラは、この店のコンセプトのようなものを話し始めた。


「ここは、クラブ・モンスター。

私以外にも、妖人やハーフエルフ、ハーフドワーフ、変わったのだとハーフラビットもいるわ」

「ハーフラビット?」

「エルフと兎のハーフの種族。簡単に言うと喋ったり人間のように生活する兎で、特に女の子に指名されることが多いね。

あとは、私のような妖人」


「女はいいな」


僕は内心に浮かんだその言葉を吐きそうになった。

「ん?どうかした?」

「どうもしてないよ」

どうにかしそうだ。


女であるということだけで、価値が出る。

恐らく、店外で、性的行為だって行なってる可能性だってある。

女であればもうそれは、妖人であっても、他種族であっても関係ないらしい。

「あ、もしかして、ここにマリーっていうエルフの女の子応募しなかった?」

「エルフのマリー?ああ面接きて、即採用決まったね。知り合い?」 

「まぁ、うん。」


女だからか。

僕は仕事ができないから、就職活動にも苦労したが女だから、こういう仕事ならすぐ決まるし、高年収だ。

多分マリーは、すぐに僕の年収を超えるし、僕から自立するだろう。

寂しさはあるだろうが別に良い。

孤独の夜が来たら、夜の繁華街でも行けば良い。

女は良い、いざとなれば体を売れば良いのだから。それは他種族であっても変わらないはずだ。

僕のように仕事ができないながらも高年収でいられるのが女だ。

僕は女という存在に嫉妬していた。


「そういえば君の名前なんていうの?」

「私アスミ」

「良い名前だ」

「ありがとう」と彼女は俺の頬をぺろっと舐める。

「ここは、風俗店じゃあないんだ、こういうことはしちゃいけないぞ」

俺は恥ずかしさ半分にそういう。

「やーん可愛い照れてるー!」

「俺は照れてない。ヴァ…ヴァラダス神に誓って、俺は照れてない!」

「もう可愛い、ちゅ」とあすみは、頬に柔らかいキスをした。

頬が彼女のリップで赤くなった。

あすみは、首をニョロニョロと伸ばして、僕の全身にふんわりとマフラーのように巻きつけた。


…、これは一種の営業だな。

女性慣れしてない男性は、その後彼女とアフターで行うだろう。

その時馬鹿なのに金を持ってる資本家は、彼女に何万、何十万ウェンか出すだろう。

誰かの自己啓発書で「金は、パワーだ」なんて書いてあった、またその本では「モテたいなら資本家になれ」とも書いてあった。

僕に彼女はまだ早い、彼女の胸部や、彼女の柔らかい首の感触は、確かに"その後"に繋げたくなるし、恐らく彼女もそうやって生計を立ててるんだろう。


「ねえ、連絡先交換したい」とアスミは言った。

「良いよ、パーク交換しようか」

パークというのは、この世界の無料通話アプリだ。ジャポの国民の過半数が利用してる。

僕はアスミに僕のアカウントの見せると、アスミは自分のスマートフォンを取り出し、僕のアカウントを追加した。


私は、人間である。


人間だけど、もっと人間的でありたい。

欲求のまま、生きるのであればそれは理性のない動物や害獣と何も変わらない。

僕は人間だ。動揺はする、だが僕はその先がない性的行為に関心はない。欲求を満たすために女性をおもちゃにするなんて、僕にはできない。

思えば、数多くに性的行為や交際に誘われたが、気持ちが乗らなかったりその人と未来を描けなかったら断っていた。


僕は仕事ができない。

そして、劣等遺伝子を残しては、いけない。

もし、相手が子供が欲っせば、精子バンクに2人で行く。

だから誘いも断る、彼女達が俺を本気で愛していたとしても、俺は断る。

たまに相手の誘いに乗って付き合うこともあるが、僕は勉強に多くの時間を費やすし、彼女の金で大量の医学、経済学、法学、社会学、心理学本を買い、彼女の金で生活するだろう。

勉強は娯楽である。特に好きな科目の勉強は、とても楽しい。

そして、彼女の資金を運用し、彼女のポケットマネーを増やす。

いずれは、起業だってしたい。

その意向を理解してる女性はなかなかいないため、交際しても、長続きしないことが多い。


夜のカブシキ町をしばらくブラブラと歩いていると、とあるコンカフェ嬢が僕に話しかけた。

「ムシロくん…私のこと覚えてる?」

サラ…君のことは忘れられたくても忘れられないよ。

君が現実を教えてくれたんだ。

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