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第15話 みんな

僕は断崖絶壁の岸の上にいた。

恐らく、マリーは自分でメイクもできるし、アスミだってあんなに美しいんだし、

なんだかんだヤマシタくんもシン・撰組に入隊して、楽しそうにやってるみたいだし、

俺がいなくても会社も世界も回る。

俺もいくよ、ルク、メイ、サキ…

僕は勇者になったかもしれないが、英雄にはなれなかったし、誰かに認められる存在にはなれなかった。

僕は孤独だった、だから多くの人から愛を求めた。

だけど、それすらも虚しく感じるほどに僕は自己嫌悪に陥っていた。

やっぱ辛いよ、両親から認められない人生は。どんなに頑張っても頑張っても両親はこちらを向いてくれることはなかった。

僕は仕事ができない、無価値な人間だから。


さようなら、さようなら。

僕は海に向かって身を投げた。


……

………


「ムシロ」

「ムシロ君」

「ムシロさん」

「ムシロ!」

「ムシロくん!」

病室のベッドの上にいた。


僕は全身が固定されてて動けなかった。

僕の名を呼ぶのは、マリー、ヤマシタ、ソシテさん、ヨリトモ…

「僕は…生きてたのか」僕は涙を浮かべていた。

「ムシロ!飛び降りた!私心配だからついていった!ムシロがキャバクラ行った後、海行って飛び降りた」とまりー

「ムシロ、悩んでいたならどうして相談してくれなかった。

ムシロ…辛いならいつでも相談に乗るぞ」とヨリトモ

「ムシロさん、心配しました!

でも彼女さんの必死の介抱で助かったんですよ」とヤマシタくん

「ムシロくん、大丈夫か?

仕事が辛いのか?相談に乗るぞ!」とソシテさん。

あ、ああ…アアアアアアアア

僕はなんで愚かなことをしたんだろう。

なんでこんなに愛されてるのに、僕はその愛に気づけなかったのだろう。

両親のことと、過去のことばかり気にして、今を見ていなかった…


「…みんな心配かけてごめん」

みんなの笑顔が暖かった。


…僕は仕事ができないかもしれない。

もしかしたら、他者より、手先が不器用で、会話も面白くないかもしれない。

だけど、こんなに心配してくれる人がいる。

僕は、まだ人生を生きても良いのかもしれない。

「良いんですか?

僕は…迷惑かけてばかり…」

「ムシロ!そんなことない!」とマリーは言った。

「私、ムシロのこと考えてると幸せになれる!ムシロの笑顔、めっちゃ好き!!

ムシロが元気なら、それでいい。

ムシロ!!!!」

マリーが僕の唇にキスをした。

他の4人が顔を赤らめた。


「だ、ダメだよぉ〜こんな場所でキスしたら」

「む、ムシロくん、破廉恥だよぉ」

「ムシロささささささん」

「ムシロ…」

「みんなありがとう」


本当にありがとう。

僕は生きる、生きてみんなのために何か少しでも貢献できるように仕事ができるようになりたい。

「僕もっと頑張るよ」


「ムシロくん、悩んだらいつでも頼ってくれよ!」

「ムシロ、退院したら美味しいものたくさん作るね!」

「ムシロさん、退院したらみんなで退院祝いでパーティしましょう!」

「ムシロ…シン・撰組のみんなは、お前の味方だからいつでも頼っていいぞ」


みんなありがとう。

僕は涙が止まらなかった、

病室のベッドは、涙で濡れていた。


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