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剣しか勝たんVRMMO  作者: 雉里ほろろ
第一章:いざ行かん星の世界、切り拓くは我が剣

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第十話:森の主を討伐せよ

記念すべき第十話です。

 ログイン二日目。


 昨日は初めてのVRにテンションをあげつつナギから近接戦の手ほどきをしてもらったので、今日は主にレベル上げだ。

 雑貨屋で回復ポーションと剣の欠片を買い、代わりに不要なドロップアイテムを売ってインベントリを軽くしていざ出発。


「早くフォレストドッグ・リーダーを倒してフィールド解放しないとな」


 ナギに聞くと、メインクエストである『森の主を討伐せよ』をクリアすることで、恵みの森以外の他のフィールドにも行けるようになるらしい。

 ということでやってきました恵みの森。道沿いにまっすぐ進めばボスエリアに行けるらしいので、今回は薬草を求めて横道に逸れたりせずにまっすぐ進む。

 道中のゴブリンの首を〈横薙ぎ〉で切り倒しているうちにレベルが5に上がった。


「レベル上がるの早いよなぁ」


 流石は初心者応援装備の『初心者の旅装』だ。サクサクとレベルがあがる。手に入れたポイントはナギを参考にしながらAGIに多めに振っておくことにした。


「ナギは確か、推奨レベルが5以降って言ってたか……」


 恵みの森のボスであるフォレストドッグ・リーダーはそこまで強くないらしい。未だチュートリアルの延長線上のボスモンスターだしな。


「よし、行くか」


 いざ行かん、ボスエリア!






 森の茂みをかき分けるまでもなく道の先は広場になっていた。ここから先がボスモンスターとの戦闘用エリアだ。

 踏み込むと同時に現れたのは色違いのフォレストドッグ。通常の個体よりも目つきが鋭く、体格も一回りくらい大きい。


『BOSS ENEMY ENCOUNT!』

『VS フォレストドッグ・リーダー』


「お前がリーダーか」


 フォレストドッグ・リーダーが遠吠えする。森の中に響く呼び声に従い、二体のフォレストドッグが現れた。

 合計三体のモンスターが俺を囲む。

 ただ、大きいとはいえ現実での大型犬程度の大きさしかないフォレストドッグにはそこまで脅威を感じない。あの虎野郎レベルまで大きかったら多少は身構えたものだが。

 腰の刀を抜いて気負いなく構える。


「行くぜ!」


 レベルを上げて得たポイントをAGIに振った分、僅かに速くなった足でそのまま距離を詰めるが、それより先に二体の取り巻きが飛び掛かってくる。

 が、そんな飛び掛かりは怖くない。何せ狂虎の突進の方が何倍も速くて迫力があった。


 攻撃を見切る、そのために大事なのは臆さない心だ。


 襲い来るフォレストドッグの牙。俺の体を食いちぎろうと飛び掛かってくる恐怖に負けず、片時も目をそらさない。

 まだ、まだ、もう少しだけ引きつけて。


「ここだっ!」


 〈横薙ぎ〉を発動しフォレストドッグの横っ面にカウンターを叩きこむ。重量があるモンスターではないフォレストドッグは、切りつけられた衝撃で横に飛ばされる。

 流石に一撃で倒すことはできないが、それより今はリーダーに攻撃をすることが大事だ。だってこういうモブは無限ポップの可能性あるし。

 勢いそのままにリーダーに切りかかる。チィ、掠っただけか!

 牙の反撃をよけ、爪を弾き、スタミナの回復に合わせて大振りな〈唐竹割〉をぶつける。


「ギャゥ!?」

「ヨッシャ命中! 見たかおぐぅ!?」


 調子に乗ったら取り巻きが背中にタックルをかましてきた。おのれ許さん。

 残念ながらこのスターブレード・ファンタジーというゲーム、特殊な装備をしていない限り拳や蹴りでのダメージは発生しない。だが態勢を崩させるなどの意味はある。

 左手でタックルしてきた一匹の顔面を殴りつけて怯ませ、二体目の引っかきを日本刀で弾く。そのまま体勢を低くして〈横薙ぎ〉をぶつけ、リーダーには意識だけを向ける。


 ナギに教わった多対一に対処するコツ。それは回避の意識を全体に向けつつ、攻撃の意識は一体に集中させることだ。そして隙を見せた敵に対して、スイッチを切り替えるように攻撃を向けること。

 隙を見つけては攻撃を当て、大振りにはスキルを合わせてダメージを稼ぐ。

 そうして〈横薙ぎ〉を当てたフォレストドッグがHPを全損し、ポリゴン片になった。残るは二体!


「グルルル!」


 味方のポリゴンの残骸を踏み越え、フォレストドッグ・リーダーが飛び掛かってくる。

 甘いな、動きが単調なんだよ!

 予備動作が大きいコイツ等の突進はもう脅威ではない。冷静に避けてカウンターに一撃を当てる。ただし連撃は欲張らず、次の隙を待つ。

 そうして冷静に攻撃を加えていけば二体目の取り巻きも倒れた。残りはリーダーだけだ。


「アオォォォォン!」


 これまでとは違う遠吠え。取り巻きを呼びなおすつもりか!

 しかし遠吠えのモーションは隙だらけ。増援が来る前に決める!


「貰ったぁぁぁぁ!」


 〈唐竹割〉によって振りぬかれた日本刀はフォレストドッグ・リーダーを切り裂き、HPを喪失させた。


「よし、ボス討伐完了!」


 苦戦することなく、無事にクリアすることが出来た。



・フォレストドッグ・リーダーの爪

 フォレストドッグ・リーダーの爪。通常種のものよりも鋭く、獲物を切り裂く。


・フォレストドッグ・リーダーの毛皮

 フォレストドッグ・リーダーの毛皮。通常種のものよりも色が濃く、強靭な毛皮。



 ドロップアイテムも無事に手に入った。何に使えるのかは不明だが。


「意外と骨のないボスだったなぁ」


 まぁ、所詮は一番初めのフィールドボスなわけだし、こんなものか。取り巻きを呼ぶタイプのボスではあったが、難なく倒しきることができた。


「うっし、それじゃあ報告に戻るか」


 戦闘で削れたHPと武器の耐久値を回復し、俺はカッペルの街に戻った。






「おめでとうございます! これであなたは一人前の冒険者に認められました!」


 ――『メインクエスト:森の主を討伐せよ』をクリアしました。

 ――称号『駆け出し冒険者』を獲得しました。


 カッペルの街に戻り、冒険者組合に報告してメインクエストを進めると、受付のお姉さんは手を叩いて喜んでくれた。

 フォレストドッグ・リーダーを倒したことでどうやら俺は一人前の冒険者になったらしい。

 餞別としてカッペル周辺の地図を貰った。これで新しいフィールドにも行けるようになる。


 さっそく貰った地図を見ると、このカッペルから北が湿地、西に平原、東には森、南に街道が続いていて、南の街道を進むと大きな街がある。街の東側が恵みの森のようだが、地図によると恵みの森のさらに奥にも森のフィールドが続いているようだ。

 他にもフィールドの各地には小さな村が点在していたりする。こういう小さな村でサブクエストとかありそう。

 ここからは自由にこの広いラディカルの世界を歩いて冒険できる。


「これからは冒険者協会の依頼も受けられるようになります。詳細はあちらの掲示板を確認してください」


 受付のお姉さんが指し示した掲示板にはいくつもの張り紙が貼ってある。あそこで簡単なサブクエストが受けられるようだ。


「ついでにいくつか受注していくか」


 新マップを探検しつつクリアできそうな、モンスター討伐系や薬草の納品などのサブクエストをいくつか受注する。報酬はお金だ。


 さて、勢いこのまま新しいフィールドへレッツゴーだ。

 意気揚々と冒険者協会を出ていこうとすると、


「あっ、リョーダンさん」


 NPCのアリアちゃんが声をかけてきた。イベントかな?


「リョーダンさんも一人前の冒険者に認められたんですね、おめでとうございます」


 俺の手を取り、まるで自分のことのように喜ぶアリアちゃん。可愛いなぁ。


「うん、どうやら合格したみたいだ」

「これから早速、街の外に行かれるのですか?」

「そのつもりだけど」

「でしたら、お願いがあるのです。街の西側に現れた魔物を討伐してくれませんか?」


 西側、というと平原地帯だったか。


「実は西風の平原でゴブリンの群れが現れて、商隊が襲われたんです」



 ――『メインクエスト:ゴブリンの群れを討伐せよ』が発生しました。



「なるほど、ゴブリンの群れかぁ」

「私に依頼が来たのですが、別件があって対応できなくて……代わりに依頼を受けてくれませんか?」


 アリアちゃんが困ったような表情に。依頼のブッキングで俺に役目を回したい、ってことか。


「ゴブリンに奪われた積み荷の中には、非常に価値のあるものがあったらしくて。それを取り返してほしいそうです」


 ほう、なんか凄いふわっとしたアイテムを取り返して来いと。


「具体的に何を奪われたんだ?」

「詳しいことは私も聞いていないのですが、何でも遺跡から出土した古くて貴重な品らしいです」


 お、何か今後のストーリーに絡みそうなアイテムの予感。


「おそらく、ゴブリンの群れは西風の平原にある洞窟に巣を作っているのだと思います」

「南の町の方も行ってみたいんだけどなぁ」

「南のニール港ですか? あの港町も海の景色が綺麗で良い街ですよね」

「へぇ、港町なんだ」


 南にある大きな町、ニールは港町らしい。そっちも気になるんだけど。


「もちろん、無理強いをするつもりはないです。ですがもし平原に行かれるのでしたら、洞窟に棲みついた魔物を退治してもらえませんか?」

 

 僅かにうるんだ瞳で上目遣いにお願いしてくるアリアちゃん。可愛い。


「オーケー、任せてくれ」

「ありがとうございます、リョーダンさん!」


 気が付くと返事をしていた。アリアちゃん、恐ろしい子!


 まぁ、メインクエストにもなっているくらいだし、次は別の町に行くより先に西側の平原を探索しろってことなんだろうな。

 だがその前に行っておきたい場所がある。それは鍛冶屋だ。

 無事に一つ目のチュートリアルフィールドをクリアし、モンスターの素材もいくつか集まっている。

 『旅立ちの日本刀』を強化できないだろうか。強化できなくても、どんな素材が必要なのか確認したい。

 あとは防具屋にも寄っておきたい。『初心者の旅装』は非常に優秀な装備だが、上半身と下半身の装備だ。

 スターブレード・ファンタジーでは防具の装備枠は頭・上半身・下半身・腕・腰の五か所。そのうち上半身と下半身にしか装備がないので、兜や腰巻などが欲しい。


「早めに装備を整えれば攻略も楽になるからな」


 ということで、まずは鍛冶屋へ行こう。


実際、大型犬三匹に囲まれたらマジで怖いと思いますけどね。


次話は2/4の20:00過ぎ頃に更新予定です。

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