気づいたこと
うまく兵は釣れたか。まぁあそこにおっても兵数からして負けることは必然。ならば儂らに着いてきて味方との合流を狙うのは当然じゃな。それになにより──
「──やはりクィーンにおったか、ナポレオン。まったく、こうまで思考が似てくると気味が悪い」
「その言葉そのまま貴公に返してやる」
兵を挟み、儂から仕掛ける気はなく、向こうからも仕掛けて来る様子はなし。されど周りの喧騒はやまない。
この世界では儂らに出来ることは限られてくる。後は兵の武力を信じ、体力を消耗するだけ無駄と判断したか。
「それで、この後はどうする? 吾輩の元へ降るというのであれば手配はするが?」
「降る? 馬鹿を言うな。儂がそのような選択を取らぬことくらい理解しておろうに」
「ではどうする? 今このマスでの兵力はこちらが有利。現に貴公達は押されている。そしてそれをひっくり返す策を貴公は持ち合わせていない。違うか?」
「その通りじゃ」
この戦の形式で最も厄介なこと、それは正面から仕掛けるしか無いという点。故に奇策、奇襲は仕掛けようもなく、兵数こそ重要になってくる。
「ナポレオン、儂はな幾度の輪廻を繰り返し、一つ気づいたことがある」
「なんだ? 貴公が自意識過剰だということか?」
「そこは問題ではない。というか過剰ではない。自己と他者を客観的に評価し、それでも尚儂以上に優秀な人間はおらんと思うておるだけじゃ」
「いちいち突っかかるな。結論を言え結論を」
此奴から余計な口を挟んだんであろうに。腹が立つのう。もしやこれも作戦?
「……はぁ、儂以上に優秀な人間はおらぬが、儂以上に優秀な人間”達”はおるということじゃ。全ての事柄を考えれば、儂が最も優秀な人間と言えよう。しかし一芸であれば儂を超す人間もおる」
「複数人集まればというやつか。だがこの戦に何の関係がある? 貴公たちに策はない。ここで吾輩に押しつぶされて終わりだ」
確かにもう仕掛けられる策はない。しかし儂は無策では挑まん。必ず勝利への道筋を立ててから戦へ望む。
「なぁナポレオン、賭けをせんか?」
「賭け? この戦の勝敗にか?」
「いいや、違う。貴様の発言に対してじゃ」
理解が追いつかんか。まぁそこは仕方がないか。数日前の言葉を思い出せという方が無理がある。
「貴様は言うたな。戦に負ける役立たずは不要と」
「それがなんだ? 貴公こそそういった考えをしていただろう」
「言うたはずじゃ。一芸であれば儂に叶う人間もいると。はたして役立たずかどうか、賭けようではないか。儂らの首をかけて」
「あれは──」




