表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/43

 最悪居玉でも対応出来なくはないが、急戦は避けたいのが本音じゃな。穴熊でも組んでくれば話は別じゃが。

 さて、ここからどうするか。

 向こうはどうにかしてクイーンをねじ込んできよるはず。それさえ防げば駒数も含めこちらが有利。

 逆に言えばクイーンに内側へと入り込まれれば、状況は絶望的とも言える。

 将棋は極端に後方の敵に弱い。それこそ入玉されれば詰ますのは至難なほど。

 つまり狙うて来るとすれば──

「──やはり5五かッ!!」

 チェスの最も厄介なことはクイーンの戦力でも、ルークやビショップの展開力でもない。将棋で言う歩兵に当たるポーンが互いにカバーしあえる事にある。

 将棋の歩兵は成らぬ限り、同じ筋には指せん。故に銀や飛車でカバーする必要がある。しかしポーンは進む時は真っ直ぐに進むが、相手の駒を取る時斜めに取る。即ち段をずらせばポーンでポーンをカバーすることが出来る。

 それは即ち大駒をカバーせず遊撃として自由に動かせるということ。

「5六銀へ登れ! 次いで4四へポーンが来よる内に角は8七じゃあッ!」

 攻めの形は上々。しかしこの形は後方へ入り込まれた途端、酷く脆い。

 恐らくこの後相手は飛車角への守りを固めるはず。その隙に玉を移動させるか。

「やはり5三にビショップを置いたか。玉は今のうちに4八じゃ!」

 さて、これで後は7筋から攻めれば──

「──6四ポーンじゃと!?」

 彼奴め、やってくれおるわ。いきなりにも程があろうに!!

 どうする? 飛車を6筋へと動かしたいところじゃが、それでは攻める手立てが無くなる。それが理解しておるからこそあのポーンは動かん。

 かというて放っておけばあのポーンは後に必ず厄介な楔へと変貌する。

「……チッ。6七金じゃ! 6八が劣勢になるようであれば攻め入れよ!」

 序盤で囲いの駒を失うのは痛手じゃが、仕方あるまい。こうなれば金も攻めに加え、一気に押しつぶすのみよ。

「7四歩じゃ!」

「ちょっと6六はどうするのよ!? それに4筋からもポーンが来てるわよ!?」

「4五のポーンはまだ放置しても問題はない。仮に5六に攻められても同歩、同クイーンが来て、兵数で押そうとしても、同金で守れる」

「じゃあ6六は?」

「奴らに増援を送っておる程時間はない。今攻めねばなし崩しに攻められ続けて前線が崩壊する」

「…………見捨てるってこと? 駒じゃなくて人間なのよ?」

「ここは戦場じゃ。戦場に居る限り、全てが駒となる。例え人間でもな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ