第五十八話 宝石は好きかい?
「帰ってきたわね、我が家に」
「お帰り~」
「おう、久しぶりだな皆の衆!」
シャールとアネスがいた。俺達がいない間も自由に温泉を使っていいと彼女たちには伝えてあった。
「ふふふ、ベッドはフカフカになってるよ」
「悪いな」
タダで温泉というのも悪いのでということで彼女は家の手入れをしてくれていた。
「おかえりなさい、サイモン殿」
ソメノは週一くらいで来ていた。彼女にはいつでも温泉に入れるようにと家の鍵を渡してあるが基本はシャールが来る日に合わせているとの話だった。
「ただいまソメノ」
荷物を部屋に置き、今度は外に置いてある大剣を家の中に運び込んだ。
「なんだその棺桶みたいなやつは!」
「ああ、これは鞘さ」
「ほほぉ!」
開けたり閉めたりと実演する。
「かなり危険な剣だから皆、近づかないようにしてくれ」
「OK!」
「みんな居るし秘蔵のお酒を出そうかな~」
「ドルンゴで買ったお酒だね。いいの?」
「うん。よく考えたら2日で行ける距離だから無くなったらまた買いに行けばいいかなと」
「まあな」
「んじゃあご飯とおつまみを買いにいくか」
「余も行くぞ!」
全員で街へ。
「この中で料理ができるのはサイモンだけだっけ?」
「ソメノもできなかったよね?」
「できません」
「でも珍しいよね。これだけいて女性陣、皆お料理できないとは」
「それじゃあ作ってあるやつ買ってこうか~」
お持ち帰り出来る料理を買って家へ。
「よーし食べるぞー!」
大きな肉にかぶりつくアネス。相変わらず豪快だ。
「んー! おいしい! このエール!」
「こっちのワインもおいしい」
「さすがドルンゴのお酒だなぁ。また買いに行かなくちゃ」
談笑しながら食事を楽しんだ。食べ終えて皆温泉へ。
「ふぅ、いいお湯だった」
「余は眠くなってきた。シャール、寝に行こう」
「わかったわアネスちゃん。それじゃひと足お先に」
「あれ? ソメノは?」
「最後まで入ってたね。そろそろ出てくるのでは」
(うう、この服装は恥ずかしい。でもメイドの言う通り攻めないと進展しないかもしれないしいくしかないか)
「ソメノ様、例の殿方とはどうですか?」
「全く進んでいない」
「ふーむ、もう少し攻めたほうがいいかもしれませんね。例えばこのような服で誘惑するとか」
「そ、そんなに胸元が空いたハレンチな服など着れないわ!」
「ソメノ様にあっていると思うんですけどね。胸も大きいし」
「しかし……」
「一回着てみましょうか」
「一回だけなら」
「ほらぁ、あいますよ。これなら男性なんか一撃ですよ」
「そ、そうかな?」
「あ、ただそのままだと逆に男性が意地でも胸を見ないようにする場合も考えられますね。ジロジロ見るのは失礼とか言い出して。そこでアクセサリーです」
「アクセサリー?」
「この場合はペンダントがいいかな? 先端に宝石なんかついていたりできるだけ派手で目立つやつ。それを胸元に」
「ふむふむ」
「そうすることで「すばらしい宝石ですね。じっくり見させてください」とおっぱいをガン見しても問題ない口実を男性に与えることが出来るんです」
「なるほどー」
「是非試してみてください!」
(と口車に乗せられてここまできてしまった。ええい、ままよ!)
「いやあ、いいお湯でした」
「温泉いいよね」
ん? 彼女の胸元に何やら光る物体が。ほほぉ、きれいな宝石だ。ムムム! しかも普通の宝石ではないな。
(見てる見てる。メイドの言うとおりね)
「きれいな宝石だね」
「はい、国宝です」
「へー」
ふむ、この宝石は運が10上がるやつだな。そしてその効果は。
効果はなし。有志が調べた結果、この運というモノはゲームに作用していないことがわかった。後からなにかの効果をつける予定だったのではと色々言われたがシリーズが終わって、結局最後まで活躍しなかったモノだった。
(それにしてもじっくり見すぎでは? 恥ずかしい……)
ホント運て何だったんだろうなぁ。ソメノのペンダントを眺めながら昔を思い出していた。
(うーん、なんだろう、この状況)
(ソメノの胸を見ているってより宝石を見ているってところかな)
(それはそれで、心配になるわね)
「おや、二人共。お酒抱えて、寝る前にもう一杯?」
「ええ。そんなところ」
「あ、私はこれで。おやすみなさい」
「おやすみ」
居間から出ていくソメノ。
「じゃあ俺も。おやすみ」
「おやすみー」
次の日。
「またな!」
「またねアネス」
「私も竜の国へ」
三人は家から出ていった。
「よし! ドルンゴへ!」
「おうっ、てもうかい」
往復で四日間、お酒を買いに行く旅。今回は多めに買っておいた。
今後は水、土曜日投稿になります。
よろしくおねがいします!




