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第五話 冒険者

 旅を始めて3日。

 小さな街に到着した。


「馬車の旅はお尻が痛いね」


「ハハハ、違いない」 


 彼女と旅をしていくつかわかったことがある。

 一つ目は俺が『ゲームの世界に似た世界』に飛ばされた、ということ。キャラの能力は同じだがゲームのストーリーとは全く違う。まあ、この件はまだまだ謎が多いが。


 もう一つは武器を持ち歩くのは大変だということ。特に大型の武器。現実世界ではゲーセンに置いていたからそんなに気にならなかったが、こちらの世界ではいつも持ち歩くことになる。重いというよりも大きいから取り扱いが面倒。この世界ならでは? の苦労と言えるだろう。とはいえ、この武器は良いものだし他の武器を買う余裕もないからしばらくは現状維持でいくけどね。


「検問を通る馬車は朝しか出ないんだ。今日はここでお泊り」


 宿屋で二部屋借りる。


「それでと、この街で冒険者になっておこう」


「領地の境には検問所があって人の出入りを監視しているんだ。で、この時に冒険者の個人証明証であるギルドカードなら見せるだけでパス、通ることが出来る」


「へー、そいつは便利だな」


「他にもいくつか方法があるけどこれが一番楽かな? 冒険者ギルドで仕事をもらうことも出来るし」


「私は持っているからサイモンのカードを作ってもらおう」


 街のギルドに到着。入る前に入口の高さをチェック。2メートルの剣を背中に背負って運んでいるため、入り口で引っかかる可能性がある。実は旅初日の宿屋でやらかして恥ずかしい思いをしていた。

 よし! 大丈夫だ。入り口は非常に広い。俺みたいなやつのことも考えて作られてるんだろうな。


「前も思ったんだけどアレだけ自在に大剣を使いこなせるのに持ち運びとか他はまるで素人の動きなんだね」


「戦闘以外は取り扱い方が正直わからないんだ。これも記憶喪失の影響なのかもしれない」


「かなぁ」


 適当にごまかした。 


 ギルドに入って周りを見渡す。屈強そうな男、魔道士風の女、身軽そうな男、色んな人達がギルドの中に居た。ミューは受付にむかって歩いていった。


「こんにちは。冒険者になるにはここでいいのかな?」


「ようこそギルドドッコレ支店へ。新規の方はそちらで受け付けております」


「わかった、ありがとう」


 一番奥の受付にいく。


「はい、こちらで新規冒険者様を受け付けております。市民カードは持っていますか?」


「あります」


「お預かりします。ではこちらの書類に記入をお願いします」


 記入欄には名前の他、クラス、資格等よくわからないものがあった。


「クラスってのは例えば剣士、とか魔法使いのことなんだけど、そこは適当でいいよ。後で書き直せる。資格は剣士ならナントカ流免許皆伝とかそういうやつね」


「なるほど」


「あとは――」


 ミューが説明してくれた。記入し受付に提出した。


「はい、次は初心者講習です。そちらの部屋でお待ち下さい」


 その後ギルド員でベテランの冒険者が色々説明してくれた。


「以上だ。受付に戻ってギルドカードを受け取ってくれ」


「お疲れさまでした。ギルドカードをお渡ししますね」


 カードには名前、クラス、炎の形をした刻印が一つ付いていた。


「この刻印の数が多いほど上位の冒険者になるって話だったな」


 先程の初心者講習を思い出していた。


「うん。ちなみに私はギルドを通さない仕事が多かったから刻印は2つ。君とほぼ一緒だ」


 道具袋からカードを取り出し見せてくれた。


「さて、簡単な依頼でも受けてみる?」


「そうしようか」


「おすすめは魔獣ツインホーン10体討伐ですね。解体してもうまみがないんで、倒して討伐証拠品である角だけを持って来るだけの簡単なお仕事になります」


 魔獣。基本的に人間に仇なす存在を魔獣としている。解体して食料にしたり武具、防具の材料にしたりもできるとのこと。


 その依頼を受け、ツインホーンがあらわれる場所まで移動した。


「いたいた、あいつだね」


「グフルルル」


 中型犬くらいの大きさ、頭から角が二本生えている。そいつが3体居た。


「私がやろう」


「わかった、頼む」


 ミューが剣を構える。扱う剣は全長1メートルほどのロングソード。、


「ウインドスラッシュ」


 魔法を唱えると剣に風のような何かがまとわりついた。剣の先端より先にも風が流れているように見える。


 ミューは走って敵に向かっていった。ツインホーン達も負けじと走り寄ってくる。

 ミューはそこから急激に移動スピードを上げ、魔獣が飛びかかる寸前に少し右側に移動し、前に進みながら剣を振り抜き一閃。見事ツインホーン3体を一振りで真っ二つにした。


「お見事!」


「『魔法剣』と言ってね、剣技と魔法を組み合わせた技だ」


「面白い戦闘法だね」


「魔法で延長した部分でも敵を切ったわけか。でなければその剣で同時に3体は無理だからな」


「さすが、見えていたか」

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