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第十一話 新たなる仲間

「わーっはっは、世の中は広いな。こんな奴がいるとは」


「恐縮です」


 戦闘が終わって30分程。さすがは竜族の王、しばらく気絶していたがもうケロッとしている。竜族は体が頑丈だとゲームの解説にも書いてあった。


「世の中に喧伝できないのは辛いところだな」


 お祭りとはいえ王族同士で闘うことが多い地鎮祭。関係者だけを闘技場に入れおこなう祭りで結果は誰にも話してはいけないという決まりがあった。


「いえ、有名になると面倒事が増えてしまいますから丁度良いシステムだと」


「ふむ、一理ある」


「さて、我々は帰るとしよう、また10年後に」


「また会おう」


 竜の一団は闘技場を後にした。


「まさか竜の王以上の強さだとはな」


 顎に手をかけこちらを観察するギネマ王。


「褒美をとらす。なにか欲しいものはないか?」


「仰せのままに」


「旅をしているのだったな、ならばある程度金を渡そう」


「ありがとうございます」


「さ、これで祭りも終わり。我々も城へ帰ろうか」


 俺達もエルフ達と一緒に闘技場を出た。


「今日はゆっくりして明日エルフの国を出ようか」


「そうしようか。それにしても長居させてもらったな」


「いいところだね、ここは」


 ミューと話をしながら城に向かっている途中、ファムが話しかけてきた。


「私もついていきたい、あなた達の旅に」


「お、うーん」


 これは想定外、言葉に詰まってしまった。ミューを見て視線で助け舟を要求する。


「また急ね。目的はなんでしょう?」


「もちろん修行。この国には私より強いエルフは居ないのよ」


「私は問題ないけど、サイモンはどう?」


「ミューがいいならいいかな」


「うん、あとは王様の同意を得られれば、ということで」


「わかった」


 先頭を歩く王に話しかけにいったファム、すぐこちらに戻ってきた。


「OKだって!」


「はやっ」


「ま、まあなんにせよよろしくおねがいします」


「よろしく!」


 こうして旅仲間が一人増えた。

 次の日、3人で馬車に乗りエルフの国を出発する。


「あ、これ父さんから」


「ほとんど宝石貨幣じゃない!」


 驚くミュー。


「そんなにすごいのか?」


「すごいも何も宝石貨幣が1枚あれば一年間遊んで暮らせるよ。それが数十枚……」


「ほー、そんなにあるのなら良い場所が見つかったら家を建てるのもいいかもな」


「そうだね考えておこう」


 エルフ達にはドニーロの街まで送ってもらった。


「王女様をよろしくおねがいします」


 お辞儀をして帰っていった。


「さて、今日はこの街で一泊」


 宿を取り一泊した。次の日朝食を取りながらミューが今後の予定の話をした。


「ここからは一応の目的地までもう少しかな。検問を越えて馬車で5日位のところ」


 食後馬車に乗る。そのまま検問を無事通過。

 検問を越えて5日後、ミューの言う目的地の街にたどり着いた。


「ここはトマニク。近くに山と川があり年中温暖な気候。もう少し行くと海の近くの街があるんだけど潮風って鉄を錆びさせてしまうんだよね。だからここが地理的にも理想的な街かな」


「そこそこ発展していて近くに鉱山があるから鍛冶も盛ん。広い平野を生かして牧畜も盛ん。そしてなんと言ってもお酒がうまい!」


 この街について熱く語るミュー。


「ミューはお酒が好きだったね」


「ハッハ、大好きさ」


「ここの湧き水はお酒に向いているんだ。それから――」


 少々早口になるミュー。30分ほどお酒の講義をおこなった。


(ホントお酒が好きなのね)


(はは、好きなものを語りたくなるのはまあ仕方のないことだな)


 俺も昔、バトルマトリックスの魅力を友達に伝えようと、数時間語り続けたことがある。


「闘技場もあるよ」


「おー、いいね」


「では、とりあえず宿をとろうか」


 部屋を3つ確保した。


「次にこの宝石貨幣を銀行に預けようか。大金持ってブラブラしているのはさすがに」


「いらっしゃいませ。ラトン銀行トマニク支店です」


「金を預けたいのだが」


「はい、それでは中身の確認を。……これは。これほどの大金ですと私どもでは取り扱いできません。店長をお呼びします、しばらくお待ち下さい」


 店長が現れ奥の部屋へ通される。融資等、色々進められたがとりあえず預けるのみにしておいた。


「ご利用ありがとうございました」


 店長と数人の銀行員が俺達の見送りをする。


(大金持ってる顧客だからそうなるか)


(しょうがないね)


「もう夕方か。ちょっと早いけどご飯にする?」


「さんせーい!」


 お店を探す。ぶらついているといい匂い漂わせているお店があった。誘われるように俺達はその店に入っていった。


「えー、新生活のスタート、希望に満ちた未来を祝しかんぱーい!」


「かんぱーい!」


「かんぱい」


「いやーほんとお酒が美味しいな。適当に入ったお店でこの味とは」


「お肉美味しい! エルフの国にも負けないわ!」


 お酒も食べ物も本当に美味しい。これはこれからの生活が楽しみだな。


「おかわり、もう一杯!」


「わたしも!」


 ミューのテンションが高い。はっはっは、楽しんでいるな、いいことだ。

 その後、俺は酔いつぶれたミューとファラを担ぎ宿屋に帰った。

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