地淵の前世の罪
うろ覚えだけどこんな内容だった気がする。
ガイドが去った後、嵐の後のような余韻が残った。まゆみとガブリエル、守護霊の三人は、疲れをいやすため、しばらく昼寝をした。
うつらうつらしながら、ガブリエルが思ったのは、なぜ地淵は女性に執着するかという事だった。おそらく地淵が僧侶だったとしたら、入門即破門されているレベルのご熱心ぶりである。休憩時間が終わったら、
その事を他の二人に聞いてみようと思った。
「育生はね。前世の悪事のせいで今生の人生では女性と接触できないことになっているの」まゆみが口を開いた。
「そう、彼の好かれなさは群を抜いておる。フォークダンスでも遠足でも女子からは一度も手を繋いでもらえなかった」守護霊も続けて語った。
「それは単に発達特性でキモがられているだけじゃないんですか」ガブリエルは修正意見を試みた。
「彼が、小学生の頃、一人の女子と仲良くなったの」まゆみが地淵の過去を急に語り始めた。
「それが初恋か」ガブリエルは何も考えず合いの手を入れた。
「そうかもしれないわね。彼はその子と放課後まで仲良く遊んだわ。でも次の日、交通事故があって、その子は死んじゃった」
「このように、彼の元へ女子が近寄ることは許されないのだ。それが彼の前世の行いの罰でもある」と守護霊が続けた。
「感傷に浸っていて、変に思ったのですが、本当に彼は、どの女性とも仲良くなれなかったのですか?
本当に一人一人検証しましたか?」ガブリエルは、切り身に食らいつく肉食魚のように、しぶとく尋ねた。
「なら自分語りになっちゃうかもしれないけど、地淵育生の女性遍歴について語ってみる」まゆみはしぶしぶ同意した。
「客観的事実をつかめば、勝機はあるかもしれません」ガブリエルは力説した。