有能メイドの迷い
お久しぶりです。
…これ、私も行った方が良かったりしますか?
あ、唐突にスイマセン。私は、フライホルツ家三女リリィ様付きの侍女をやらせていただいております、エシリアと申します。何故リリィ様付きになったのかは全くわかりません。私の一族がずっとこのフライホルツ家に仕えているわけでもなく、母や父がお世話になっているわけでもなく、赤の他人と言っていい、身寄りのない天涯孤独の子供を、大事な娘のお付きの侍女にするなんて、私だったら考えもしないと思います。同い年だからでしょうか?それとも、現当主様であるグレイアス様が私を拾ってくださったから?…謎は尽きません。まぁそんなことは置いておくとしまして、本題に入りましょう。冒頭で言っていた、『私も行った方がいいのか?』というのは、私がリリィ様と同郷かもしれないからです。リリィ様が、グレイアス様のお部屋に向かう際、身支度を整えていた時に「やっぱ転生者ってことは明かすしかないかなぁ」なんて一言をつぶやいておられたので、その時確信したといいますか、違和感を覚えたのです。何を隠そう私も転生者ですので、誰か同郷がいないかな、なんて思っていたものです。もしリリィ様が私と同じ、「地球」の「日本」に住んでいた人なら、色々助けあえるんじゃないかな、なんて淡い期待を抱いています。私の前世は18で交通事故で死んだ女性だったので、同い年だといいなと思いますね。心の支えって、大事ですよ?いや、ほんとに。確かめたいこともありますし。
「ただいまぁ!」
リリィ様が帰ってこられました。さ、確かめてしまいましょうか。
「リリィ様」
「エシリア」
「「何(何でしょうか)?」」
同時ってすごいですね。
「リリィ様、お先にどうぞ。」
「んじゃお先に。唐突にこんなこと聞いて悪いんだけど…あなた、転生者でしょ?」
話題、かぶりましたね。
「なぜそれを?やはりリリィ様も、そうなのですか?出身はどこですか?私は、『地球』の『日本』から来た、日本人です。」
「エシリアも?!」
「と、言うことは、リリィ様も日本人ですか?」
やっぱり同郷でしたね。
「そう、正解。ついでに言うと、この世界が乙女ゲームの世界ってことは知ってる?」
「『恋の方程式』ですか?」
「あ、そこまでわかってるんだ。正解。早めにお父さんに知らせないとだね。ついでに、前世では何歳で亡くなったの?」
しかもプレイヤーとは。
「18です。バイトの帰りに、交通事故で。」
「同い年だ!もう二人の間は敬語なしで。」
「了解。」
「あ、そうそう。リリィのお母さんって、カトレアだったよね?こっちの世界だと、何故か私のお母さんはローゼマリーだったんだけど。」
「ローゼマリーはヒロインのお母さんでしょ。てことは、私達の存在で何らかの異変が生じたって考えるのが妥当ね。」
「今度、絵姿を見せてくれることになったから。カトレアも転生者の可能性あるし。」
面倒なことになりましたね。
「あとで、一緒に執務室に行こう。今日はいるって言ってたから。」
「わかった。服装はこのままで大丈夫だよね。」
「大丈夫じゃない?じゃあ、夕食後に行きましょう。」
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、ゲーム内でのリリィ母の名前をプリムラからカトレアに変えました。特に理由はありません。なんとなくカトレアのほうがしっくり来たので変更しました。