死人は出さない!お姉さま方救済プラン‼
気づいたときには、女の子なら一度は憧れる天蓋付きのミントグリーンのベッドに寝かされてました、はい。ふっかふかで、起きることをためらいそうな位の気持ちよさ。そろそろ、ベッドからおりて定番の、「え?なにこの瞳&髪の色⁉」をやらなきゃね。と、その前に。窓を開けて換気。その後、置いてある水差しからコップ一杯注いで、ぐいっと一息で飲み干す。うん、やっぱり美味しい。これは、すべて私がやっていたルーティーンのようなもの。やっぱり長年の習慣がついてるからね、無意識でやっちゃうよね。まぁ、あのリリィ様だったらやらないと思うけど。でも、美容にいいことはやってたか。ゲームのプレイ時から思ってたけど、悪役令嬢って不憫だよね、他人事じゃないけど。恋に浮かれたバカ王子のせいで婚約破棄されて、ずっと王子さまに相応しくなりなさいって教育されてたのに、すべて水の泡。そりゃあヒロインをいじめたくもなるよ。いじめはダメだけど。しかも元々目がちょーっとつり上がってて、ちょーっと口許がキリッとしてるだけなのに。ぶっちゃけ美人。そして幼少期天使。ヤバイ、ナルシになりかかってる。そういえば、あんなにヒロインをいじめ抜いてたのも、幼少期にお姉さま二人亡くしたからなのよね、確か。なんのの病気だったっけ。必死に記憶を探る。えーーーーっと。そう!そうだ、お姉さまたちは、働きすぎて風邪をひき、その風邪をこじらせて肺炎になって亡くなったって、確かゲームの攻略本に裏話として描かれてた気がする。やっぱり衛生面って大事だよね。でも、風邪なら治せるかも。風邪の原因、昨日見つけたし。風邪の原因、それは簡単。「寝不足」それだけ。昨日夜中に起きて、使用人に水をもらいに行ったら、お姉さまの部屋の電気がついてて、二人とも、勉強会してた。相当深夜だったはず。使用人も眠そうにしてて、ごめんなさいって謝った記憶あるもん。お姉さまたち、まだ13と14歳のはずなのに、お父様の手伝いしてるもんね。そりゃあ、お父様の力になりたいのはわかるけど、無理をしすぎるのはだめだと思うし。よし、ここは、5歳の私が行くところだ、もともとお姉さまにはかわいがられてるから、いけるはず。しかも私、かわいいし。そうと決まったら、明日は早速お父様の執務室に行って、お姉さまたちの休みを確保しなきゃ。
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「おとーさま!リタお姉たまとリリアお姉たまにお休みをあげてください!」
「リリィ、私もリタとリリアには休めと言っているが、二人が休まないといってきかないんだ。だから、リリィが遊ぼうといえばあの二人は遊んでくれるはずだ。休暇は必要だからな。無理やり連れ出せ。よろしく頼むぞ。」
「はい!おとーさま、頑張ります!」
父の部屋から出る。よかったぁ。もう、この足で明日は休暇が取れて、私と遊ぶことになることをお知らせしないと。私、いきなり倒れたはずなのに、動じてなかった父親はすごい。メイドが私の動きを報告してるのかな。十中八九それだろう。この数日間動き回ってたもんね。
コンコン
「リタお姉さま、リリアお姉さまいらっしゃいますか?」
「入っていいわよ、リリィでしょ?」
ガチャっとドアを開ける。
「お姉さま、明日、私と遊んでくれますか?」
「リリィ、私たちは、お父様のお手伝いをしなくちゃならないの。だから、明日は遊べないわ。」
「おとーさまは休んでいいって言ってましたよ?」
「でも…」
「最近、全然遊んでくれないんだから、明日遊んでくれなかったら、お姉さまたちのこと、嫌いになります!」
「もう。リリィはわがままなんだから。いいわ。明日だけよ。いいでしょ、リリア?」
「リタ姉さまったら。でも、確かにリリィとはあまり遊んでいなかったわね。いいわ。」
「やったぁ!リタ姉さま、リリア姉さま、大好き!」
次はリリィとお姉さま方がお出掛けします