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その頃ジュリアは、盗賊達に足と手を縛られて、運ばれていた。
「いやー、今日は大収穫、こんなに良い物がみつかるなんてな」
頭がそう言って先頭を歩いている。
いつの間にかアジトの塔に着いていて、今から売られる人達と一緒に塔の上の方にある部屋に座らせられた。
「お嬢ちゃん、ついてないね~」
そう言って、ジュリアの口に貼っていたガムテープを取った。
「私の仲間が助けに来るわ」
「無理だね、この塔がどこにあるか知っているか、森の中だぞ、人間じゃ迷ってたどり着けやしないよ」
「でも、助けに来るわ」
ジュリアは力いっぱいそう言った。
「信じるだけ無駄だ。あきらめて売られることだな」
頭は大声で笑いながらそう言った。
(助けて、チャニ、メルロー、ラール)
信号を送り続けた。
――絶対助けに来てくれるわ。
ジュリアは信じて疑わなかった。
全員、暗い顔をしてだまって座っているので。
「みんな、大丈夫よ、助けてもらえるわ」
「どこに助けがあるんだよ」
「そうだ、そうだ」
口々に怒りを表す人々に、みんなあきらめてしまったのだと思い、悲しくなったが、ジュリアは、あきらめず。
「まだ、あきらめないで」
ジュリアだけは、冷静を装いそう言った。
☆ ☆ ☆
「おい、チャニ、森の中から反応が動かなくなったぞ」
メルローがそう言うと。
「アジトは、森の中なのね、行くよ、ラール」
「うん、ジュリアさんのためなら、盗賊くらい、あっという間に捕まえちゃわないとね~」
ラールがえばってそう言った。馬車を使うと、盗賊にばれるので、歩いて森の中をさまよっていた。
「いったいアジトってどこかしら?」
チャニは地図を描きながら、迷っていた。
「一刻も早くジュリアを見つけてやらないと、何をされるかわからないからな、急げよ、お前ら」
メルローが不機嫌そうにそう言った。
「はいはい、心配なら、心配だって行ったらいいじゃないですか、拗ねてるなんてかわいくないですよ」
チャニが呆れてそう言った。
「なっ」
メルローはうろたえた後、いつもの顔に戻り。
「まあ、少しは心配だ」
「そうですか、あと、怪しいのは、あの塔位の物ね」
チャニが指さしたところから強くジュリアを感じる。
「間違いないあそこだ」
メルローは、走って乗り込んでいった。
塔には門番が立っていた。
「お前ら、避けないと、悲惨な事になるぞ」
「はあ、兄ちゃん、こちらには、仲間がたくさんいるんだぞ、そんな脅し通じるわけがないだろうが」
「そうか」
メルローは剣を出して、門番二人の頭を叩き気絶させた。
「みねうちだ、心配いらない」
メルローはそう言って、中へ入って行くと。
「だれだ! アジトをかぎ分けるなんて、何者だ」
「東のサーバントだよ、生憎あんた方が連れて行った銀髪の少女は、俺達のクライアント何でね、行くぞ、チャニとラール、後援を頼む」
「「はい」」
『フラッシュフォーチュン』
『火炎弾』
メルローは剣を振りかざして、どんどん盗賊を倒していく。
「みんなの目を一時的に見えなくするよ、コイントス」
裏が出た。
「いまです。メルローさん、みんな目が見えなくなっているはずだから」
「おう」
一気に階段を上って行く。
「ジュリア」
最上階の部屋を開けると、ジュリアがしばられている。
「メルロー、やっぱり助けに来てくれた」
「あ、当たり前だ」
メルローは縄をほどいてくれた。
「みんな、助かるよ」
「「やったー」」
捕まっていた人達は、辺りの人と抱き合って喜んでいる。その時、メルローはジュリアを抱き上げた。
「帰るぞ」
恥ずかしそうにそう言った。
「ありがとう、また助けられちゃったね」
「ジュリアのためなら何だってするさ」
「うれしい」
ジュリアは笑顔をメルローに向けた。メルローは急に赤くなり。
「化粧、似合っている。かわいい」
「ありがとう、やっぱり、メルローに言われるとうれしいな」
メルローは、ジュリアを持ち上げたまま塔の下まで、捕まっていた人達と降りて行った。
「チャニ、ラール」
塔の一階にいた二人に声をかけた。
「ジュリア様、ご無事でいらっしゃったのね」
チャニが喜んでそう言う。
「メルローにおいしい所持って行かれた。僕じゃ、ジュリアさんをお姫様抱っこなんてできないしね」
ラールは小生意気にそう言うが、かわいいので許した。
「さあ、帰ろう」
四人で手をつないで帰った。




